判断して、それで終わり?

管理職の考え方・マインドセット

はじめに

管理職になると、判断する場面が一気に増えます。

部下に任せるべきか。
まだ任せるには早いのか。
注意すべきか。
もう少し様子を見るべきか。
上司に報告すべきか。
自分のところで止めるべきか。

現場では、正解がはっきりしない判断ばかりです。

同じような場面に見えても、部下の経験、性格、関係性、タイミングによって、必要な対応は変わります。

だから、迷うのは自然です。

「これでいいのか」
「言いすぎではないか」
「任せすぎではないか」
「もっと早く介入すべきだったのか」
「今回は待つべきなのか」

真面目に管理職をやっている人ほど、こうした判断で悩みます。

ただ、ここで考えたいことがあります。

管理職にとって本当に大事なのは、判断することだけではありません。

判断したあとに、何を見るか。

ここです。

決めた。
伝えた。
任せた。
注意した。
報告した。

そこで終わっていないでしょうか。

判断して、それで終わり。

この状態になると、管理職の判断は現場で機能しにくくなります。


判断するまでは、真剣に考えている

管理職は、判断するまでにかなり考えています。

部下に任せるときもそうです。

本人の経験値はどうか。
今の忙しさで任せて大丈夫か。
失敗したときにどこまでフォローできるか。
この仕事を任せることが成長につながるか。

注意するときもそうです。

今言うべきか。
後で個別に伝えるべきか。
どこまで強く言うべきか。
相手が受け止められる状態か。

上司に報告するときもそうです。

どこまで伝えるべきか。
現場の状況をどう説明するか。
部下のせいに聞こえないか。
自分の責任をどう含めるか。

判断するまでに、管理職は悩みます。

それは悪いことではありません。

むしろ、何も考えずに反射的に決めるより、ずっと健全です。

ただ、管理職の仕事は、判断した瞬間に終わるわけではありません。

むしろ、本当に大事なのはその先です。


任せたあと、見ているか

たとえば、部下に仕事を任せると決めたとします。

管理職としては、勇気のいる判断です。

自分でやった方が早い。
失敗したら自分がフォローしなければならない。
お客様や他部署に迷惑がかかるかもしれない。

それでも、部下の成長のために任せる。

この判断自体は、とても大切です。

ただ、任せたあとに見ているでしょうか。

部下は動き出せているか。
途中で止まっていないか。
分かったふりをしていないか。
不安そうなまま抱えていないか。
どこでつまずいているか。

任せることと、任せっぱなしにすることは違います。

管理職が「任せた」と思っていても、部下からすると「丸投げされた」と感じていることがあります。

反対に、管理職が心配して細かく見すぎると、部下からすると「任された気がしない」と感じることもあります。

見るべきなのは、仕事が終わったかどうかだけではありません。

部下がどこで迷い、どこで判断し、どこで止まりそうになっているかです。

任せるという判断が本当に機能しているかは、任せたあとを見なければ分かりません。


注意したあと、聞いているか

注意や指導も同じです。

管理職にとって、注意するかどうかは迷う判断です。

言った方がいい。
でも、嫌われるかもしれない。
強く言いすぎると萎縮させるかもしれない。
言わないと、本人にもチームにもよくない。

だから悩む。

そして、意を決して伝える。

「これは直してほしい」
「この対応はよくなかった」
「次からはこうしてほしい」

ここまではできている管理職も多いと思います。

ただ、そのあと聞いているでしょうか。

相手は本当に理解できたのか。
何を変えればよいか分かっているのか。
ただ黙っていただけなのか。
反省しているように見えて、実は混乱していないか。
その後の行動は変わっているのか。

注意は、言ったら終わりではありません。

相手の行動が変わって初めて、注意した意味が出てきます。

もちろん、毎回すぐに変わるわけではありません。

ただ、管理職が「伝えたから終わり」と思っていると、部下の中に何が残ったのかを見落とします。

注意したあとに、相手がどう受け止めたのか。

ここを見ないままでは、必要な指導だったのか、言い方が強すぎたのか、何が伝わって何が伝わっていないのかが分かりません。


伝えたあと、現場は動いているか

会社の方針を伝える場面もあります。

新しいルール。
新しい目標。
業務変更。
評価方針。
現場への依頼。

管理職は、上から受けた方針を現場に伝えなければなりません。

このときも、判断があります。

どこまで背景を話すか。
どんな言葉で伝えるか。
現場の不満をどこまで受け止めるか。
自分自身が納得しきれていないときに、どう伝えるか。

ここも難しい場面です。

ただ、伝えたあとに現場の反応を見ているでしょうか。

部下は本当に理解しているか。
質問が出ないのは納得しているからなのか、諦めているからなのか。
現場で行動に移っているか。
方針が誤解されていないか。
不満が別の場所で広がっていないか。

「伝えました」
「共有しました」
「説明しました」

これだけでは十分とは言えません。

現場で動きが変わっていなければ、伝わったとは言えないことがあります。

方針を伝える管理職に必要なのは、伝達力だけではありません。

伝えたあとの現場の反応を見る力です。


判断は、ゴールではなくスタート

管理職は、判断する前に材料を集めます。

部下の話を聞く。
上司の意向を確認する。
過去の経緯を見る。
数字を見る。
周囲の反応を見る。
リスクを考える。

判断材料を集めることは大事です。

ただ、材料を集めて判断したあとに、そこで終わってしまうことがあります。

任せると決めた。
注意すると決めた。
待つと決めた。
上司に伝えると決めた。
部下に方針を説明すると決めた。

判断そのものに集中しすぎると、その後を見る意識が薄くなります。

でも、現場では、判断したあとに状況が動きます。

部下の反応が出る。
チームの空気が変わる。
思ったより進むこともある。
思ったより止まることもある。
別の問題が見えてくることもある。

判断は、ゴールではありません。

現場を動かすためのスタートです。

だから、判断したあとに何を見るかまで含めて考える必要があります。


判断のものさしは「その後、何が変わったか」

この場面で管理職が見るべきものは、シンプルです。

その判断のあと、相手や現場に何が起きたか。

任せたあと、部下は動き出せたか。
注意したあと、行動は変わったか。
方針を伝えたあと、現場は理解して動けたか。
待つと決めたあと、状況はよくなったか。
介入したあと、部下は次に自分で考えられるようになったか。

判断が正しかったかどうかは、決めた瞬間には分かりません。

その後の現場を見て、初めて見えてくることがあります。

もちろん、すぐに正解・不正解を決められるわけではありません。

任せたけれど失敗することもあります。
注意したけれど、すぐには変わらないこともあります。
待ったことで、本人が自分で気づくこともあります。
逆に、待ちすぎて問題が大きくなることもあります。

だからこそ、判断の先に関わり続けることが必要です。

管理職の判断は、出して終わりではありません。

その後を見て、必要なら関わり方を変える。

ここまで含めて、管理職の仕事です。


自分の判断を守りたくなることもある

ここで難しいのは、人は一度判断すると、その判断を正しかったことにしたくなるということです。

任せたのだから、部下にやり切ってほしい。
注意したのだから、相手に変わってほしい。
待つと決めたのだから、もう少し様子を見たい。
自分が伝えたのだから、分かっているはずだと思いたい。

そう思いたくなるのは自然です。

自分の判断が間違っていたかもしれないと認めるのは、簡単ではありません。

特に管理職は、自分の判断に責任を持たなければならない立場です。

だからこそ、自分の判断を守りたくなります。

でも、現場を見るときに必要なのは、自分の判断を正当化することではありません。

その判断が、今の現場にどう作用しているかを見ることです。

部下が動けていないなら、任せ方を変える必要があるかもしれない。
注意したあとに萎縮しているなら、フォローが必要かもしれない。
伝えたつもりでも動きが変わらないなら、伝え方を変える必要があるかもしれない。

判断を変えることは、負けではありません。

現場を見て、関わり方を修正することです。


会社としても、判断を管理職任せにしすぎない

判断して、その後まで見る。

これは管理職本人にとって大切な姿勢です。

一方で、すべてを管理職個人の経験や感覚に任せるのは限界があります。

ある管理職は、任せたあとも丁寧に見ている。
別の管理職は、任せっぱなしになっている。
ある管理職は、注意したあとにフォローしている。
別の管理職は、言いっぱなしになっている。

これでは、部下がどの上司のもとで働くかによって、育ち方も納得感も大きく変わります。

会社としても、現場リーダーに何を期待するのかを明確にする必要があります。

判断させるだけでなく、その後を見る。
任せ方、注意の仕方、方針の伝え方を、管理職任せにしない。
1on1や面談を、単なる状況確認で終わらせない。
判断のあとに何を見るべきかを、現場リーダーが学べるようにする。

ただし、これは大きな制度をつくれば解決する話ではありません。

まずは、現場の管理職がどんな判断で迷っているのか。

判断したあと、どこで関わりが止まっているのか。

そこを見えるようにすることから始まります。


おわりに

判断して、それで終わり。

管理職の仕事は、そこで終わるものではありません。

任せる。
注意する。
待つ。
伝える。
上司に報告する。
部下に方針を説明する。

どれも大事な判断です。

ただ、その判断が現場でどう作用しているかを見なければ、本当に機能しているかは分かりません。

任せたあと、部下は動けているか。
注意したあと、行動は変わっているか。
伝えたあと、現場は理解して動けているか。
待ったあと、状況はよくなっているか。
介入したあと、部下は次に自分で考えられているか。

正解は一つではありません。

ただ、見るべきものはあります。

それは、判断したあとの相手の反応と現場の変化です。

管理職に必要なのは、正しい判断を一発で当てることではありません。

判断したあとに見続け、必要なら関わり方を修正することです。

もし今、何かの対応で迷っているなら、

「どう判断するか」

だけでなく、

「その判断のあと、何を見るか」

まで考えてみてください。

そこまで考えられると、管理職の判断は少し変わります。


管理職としての判断に迷っている方へ

もし今、同じように、

「この対応でいいのか?」
「任せたあと、どこまで見ればいいのか?」
「注意したあと、どう関わればいいのか?」
「待つべきか、介入すべきか迷っている」
「自分の判断が間違っていないか、一度確認したい」

と感じていることがあれば、今の1件だけ話してみませんか?

管理職の判断に、いつも明確な正解があるわけではありません。

ただ、その場面で何を見るか。
何を基準に考えるか。
判断したあと、どう関わるか。

そこを一緒に整理することで、自分なりに納得して動けることがあります。

具体的な1件・1場面について相談したい方は、以下のフォームよりお申し込みください。

「この対応でいいのか?」相談
30分 5,500円

「この対応でいいのか?」相談フォーム
この度は「この対応でいいのか?」相談にご興味を持って下さりありがとうございます。頂戴するご相談の対応はオンライン通話(zoom)で行います。 管理職(リーダー)の仕事には、「これでいいのか?」と迷う場面が何度もあります。このフォームでは、今...

仕事や管理職としての状況全体を整理したい方へ

一つの場面だけでなく、

「管理職として、このままでいいのか」
「部下との関わり方にずっと迷っている」
「上司と部下の間で判断に疲れている」
「仕事やキャリアも含めて、一度整理したい」

という方は、60分の個人相談をご利用ください。

今の仕事や管理職としての状況全体を一緒に整理し、どこで迷っているのか、何を見直すとよいのかを考えていきます。

仕事・管理職・キャリア個人相談
60分 11,000円

仕事・管理職・キャリア 個人相談
仕事や管理職としての悩み、これからのキャリアや働き方について、今の状況を一度じっくり整理したい方のための個人相談です。たとえば、管理職としてしんどさを感じている上司と部下の間で板挟みになっている仕事を抱え込みすぎている今の役割や会社を続ける...

会社として管理職育成を見直したい方へ

管理職が、任せたあとに見られていない。
注意したあと、言いっぱなしになっている。
方針を伝えても、現場の行動につながっていない。
店長・SV・係長・主任によって、判断後の関わり方に差がある。

このような課題を感じている場合は、現場リーダー育成・管理職育成の仕組みを見直すタイミングかもしれません。

法人として、現場リーダー育成・管理職育成に課題を感じている企業様は、以下のフォームよりご相談ください。

現場リーダー育成相談フォーム
この度は「現場リーダー育成」相談にご興味を持って下さりありがとうございます。頂戴するご相談の対応はオンライン通話(zoom)で行います。  このフォームは、店長・SV・係長・主任など、現場リーダーの育成に課題を感じている企業様向けの課題整理...

コメント