管理職になって、誰にも評価されなくなった

管理職の考え方・マインドセット

はじめに

管理職になってから、誰にも評価されなくなった。

そんな感覚を持ったことはないでしょうか。

部下の仕事は評価する。

できたことを伝える。
改善すべきことを伝える。
頑張っている部下には、感謝やねぎらいの言葉をかける。

一方で、自分の仕事は誰が見てくれているのか。

チームをまとめる。
問題が起きれば対応する。
部下の相談に乗る。
上司からの指示を現場へ落とし込む。
数字にも責任を持つ。

それでも、上司からは、

「管理職なら、やって当然」
「チームをまとめて当然」
「問題に対応して当然」

と思われているように感じる。

部下からも、

「相談に乗ってくれて当然」
「判断してくれて当然」
「上司なのだから何とかして当然」

という期待を向けられる。

誰かに強く責められているわけではない。

それでも、すべてを当然とされているような感覚が積み重なり、ふと苦しくなること、ありませんか。

「自分だって頑張っている」
「自分の仕事も見てほしい」
「少しくらい評価してほしい」

そう思うのは、わがままではありません。私もいつもそうでした(笑)

むしろ、多くの管理職が口に出せずに抱えている、自然な感情だと思います。


管理職になると、成果が見えにくくなる

プレイヤー時代の成果は、比較的分かりやすいものです。

売上をつくった。
仕事を早く終わらせた。
難しい案件を担当した。
お客様から評価された。
目標を達成した。

自分が動いた結果と、成果がつながっています。

周囲からも、

「よくやった」
「助かった」
「成果が出た」

と評価されやすい。

ところが、管理職になると、成果の求められ方が変わります。

自分がどれだけ仕事をしたかだけではなく、

部下が成長した。
チームがまとまった。
問題を未然に防いだ。
現場の連携がよくなった。
自分がいなくても仕事が回るようになった。

こうした状態をつくることが求められます。

ただ、これらの成果は見えにくい。

例えば・・・問題を未然に防いでも、問題が起きなかっただけに見えます。

部下の判断力が上がっても、その成果は部下本人のものとして見えます。

チームが安定して回っていても、「特に問題のない部署」として扱われます。

管理職が何もしなかったのではありません。

管理職が関わった結果、問題なく回っていることもあります。

しかし、その過程は数字や件数だけでは表れにくい。

だから、管理職は次第に、

「自分は何を評価されているのだろう」

と分からなくなっていきます。


プレイヤー時代と同じ方法で評価されようとすると苦しくなる

評価されている実感が薄くなると、管理職は自分の仕事量で価値を示そうとします。

誰よりも早く動く。
難しい案件を自分で処理する。
部下の仕事まで引き取る。
現場の細かな問題にすべて対応する。

プレイヤー時代と同じように、自分の成果を積み上げようとするのです。

その気持ちはよく分かります。

自分が動けば、成果が見えます。

「これだけやった」と、自分でも確認できます。

周囲にも説明しやすい。

一方で、部下を支援したことや、チームを安定させたことは見えにくい。

だから、つい自分で仕事を抱えてしまう。

ただ、この状態が続くと、管理職は苦しくなります。

管理職の仕事に加えて、プレイヤーとしての仕事も抱えるからです。

部下の相談にも乗る。
チームの問題にも対応する。
上司への報告もする。
そのうえで、自分でも成果を出し続ける。

これでは、仕事が減るはずがありません。

そして、管理職が自分で処理するほど、部下は仕事を経験できなくなります。

部下が育たない。
管理職の負担が増える。
さらに管理職が自分で動く。

典型的な悪循環です。これは過去の記事でもご紹介しましたよね。

管理職が頑張っていないのではありません。

むしろ、頑張りすぎています。

ただ、頑張る方向が、管理職として求められる成果と少しずれている可能性があります。


管理職の成果は、自分の仕事量だけでは測れない

管理職の成果を見るときに、自分一人の仕事量だけを見るのは適切ではありません。

見るべきなのは、チーム全体です。

部下が以前より自分で判断できるようになった。
上司に確認しなくても進められる仕事が増えた。
メンバー同士で助け合えるようになった。
問題が大きくなる前に相談が上がるようになった。
次のリーダー候補が育ってきた。
管理職が休んでも現場が回るようになった。

こうした変化も、管理職の成果です。

ただし、管理職本人にとっては、なかなか実感しにくいものです。

なぜなら、部下が成長するほど、自分が直接手を出す場面は減るからです。

以前なら、自分が判断していた。
以前なら、自分が対応していた。
以前なら、自分が成果を出していた。

それを部下ができるようになる。

プレイヤーの感覚で見れば、「自分の仕事が減った」ように感じます。

しかし、管理職の役割から見れば、部下ができることを増やしたという成果です。

自分がいなければ回らない現場よりも、自分がいなくても回る現場をつくる。

そこに、管理職としての価値があります。


「自分も評価してほしい」という気持ちは否定しなくていい

ここで勘違いしてほしくないのは、

「管理職なのだから、評価を求めてはいけない」

という話ではありません。

管理職であっても、人です。

努力を見てほしい。
苦労を分かってほしい。
助かったと伝えてほしい。
成果を認めてほしい。

そう感じるのは当然です。

部下には感謝やねぎらいを伝えているのに、自分には誰も言ってくれない。

それが続けば、孤独を感じるのも無理はありません。

だからといって、自分の中にある、

「評価してほしい」
「頑張りに気づいてほしい」

という気持ちまで否定する必要はありません。

問題は、その気持ちを満たすために、また自分で仕事を抱え込んでしまうことです。

本来必要なのは、自分の仕事量を増やして評価を取りに行くことではありません。

管理職として何を期待されているのか。
何を成果として見てもらえるのか。
自分が今つくっているチームの変化は何か。

ここです。なのでまずはこれらを整理してみませんか。


部下から評価されることが、管理職の成果ではない

部下に好かれる。
感謝される。
「良い上司です」と言ってもらえる。

もちろん、うれしいことです。

ただし、それ自体が管理職の目的ではありません。

管理職の役割は、部下に評価してもらうことではなく、部下が力を発揮できる状態をつくることです。

必要な仕事を任せる。
判断の基準を伝える。
困ったときに支援する。
言うべきことは伝える。
成長できる機会をつくる。

その結果として、

部下が自立する。
チームで成果が出る。
次の人材が育つ。
管理職がすべてを抱えなくても現場が動く。

そこに、管理職としての成果があります。

部下から直接「ありがとうございます」と言われないこともあるでしょう。

育成した部下の成果が、その部下本人の実力として評価されることもあります。

少し寂しさを感じるかもしれません。

それでも、部下が力を発揮できるようになった事実は、管理職の仕事が機能した証拠です。


これは管理職本人の受け止め方だけの問題ではない

ここまで読むと、

「管理職本人が、成果の捉え方を変えればよい」

という話に見えるかもしれません。

しかし、それだけではありません。

管理職が、自分の成果を正しく認識できない背景には、会社側の問題もあります。

会社が管理職に何を期待しているのかが曖昧。

管理職の評価が、本人の売上や実務量に偏っている。

部下育成やチームづくりを求めながら、それを評価する項目がない。

問題が起きたときだけ管理職に指摘し、問題なく運営できているときは何も伝えない。

これでは、管理職は何を目指せばよいか分かりません。

「部下を育てろ」と言われる。
でも、自分の数字も落とすなと言われる。

「仕事を任せろ」と言われる。
でも、失敗すると管理職だけが責められる。

「チームをまとめろ」と言われる。
でも、チームが安定していることは特に評価されない。

この状態では、管理職が自分の仕事量で成果を証明しようとするのも無理はありません。

管理職をプレイヤー止まりにしているのは、本人の意識だけではないのです。


会社として明確にすべきこと

会社として必要なのは、管理職に、

「もっと管理職らしく考えなさい」

と求めることではありません。

まず、管理職に何を期待するのかを明確にすることです。

本人が成果を出すことなのか。
部下を育てることなのか。
チームを安定させることなのか。
次のリーダー候補をつくることなのか。
現場の問題を早期に察知することなのか。

もちろん、どれか一つだけではありません。

ただし、会社として優先順位を示さなければ、管理職は目の前の数字と実務に戻ります。

また、管理職の成果を見る視点も必要です。

部下ができる仕事は増えたか。
チーム内で相談や連携が生まれているか。
問題が大きくなる前に対応できているか。
管理職自身が抱える仕事は減っているか。
次のリーダー候補が育っているか。

こうした変化を、管理職本人と上司、人事が一緒に確認する必要があります。

管理職の成果は、本人がどれだけ忙しいかではありません。

チームがどれだけ機能しているかです。

その基準を会社が示し、定期的に振り返る。

それがなければ、管理職はいつまでも「自分が頑張ること」でしか価値を証明できません。


管理職を一人にしない

管理職になると、部下には弱音を吐きにくくなります。

上司にも、

「管理職なのだから自分で考えて」

と言われることがあります。

結果として、管理職は孤独になります。

部下には支援する側。
上司からは任される側。
しかし、自分自身を支援してくれる人はいない。

これでは、管理職が疲弊するのも当然です。

管理職にも、振り返る場が必要です。

どこに負担を感じているのか。
何を自分で抱えているのか。
部下に任せられているか。
チームにどんな変化が起きているか。
管理職としてどんな成果を生み出せているか。

これを整理する場が必要です。

管理職会議でも、上司との面談でも、人事との対話でも構いません。

重要なのは、問題が起きたときだけ管理職に関わるのではなく、管理職自身の状態と役割転換を継続的に支えることです。

管理職も、育成される側です。

役職を与えた時点で完成するわけではありません。


おわりに

管理職になってから、誰にも評価されなくなった。

そう感じることは、決して珍しくありません。

部下の仕事は見ている。
チームの問題にも対応している。
上司からの期待にも応えようとしている。

それでも、自分の頑張りは当然とされているように感じる。

その苦しさを、無理に否定する必要はありません。

ただし、プレイヤー時代と同じように、自分の仕事量や自分の成果だけで評価されようとすると、管理職はさらに苦しくなります。

管理職の成果は、少し見えにくいものです。

部下が成長した。
チームがまとまった。
問題を未然に防げた。
自分がいなくても現場が回った。

これらも、管理職として生み出した成果です。

見るべきなのは、自分一人の仕事量ではありません。

チーム全体が、以前よりどう変わったかです。

そして、その成果を管理職本人だけに見つけさせてはいけません。

会社として管理職に何を期待し、何を評価するのかを明確にする。

管理職自身が、自分の役割と成果を振り返れる場をつくる。

そこまで整えて、初めて管理職育成は仕組みになります。


現場リーダー育成に課題を感じている企業様へ

管理職が、自分で仕事を抱え続けている。
部下育成やチームづくりが、評価に反映されていない。
店長・SV・係長・主任がプレイヤーから抜けられない。
管理職自身が、自分の役割や成果を見失っている。

このような課題を感じている企業様は、一度、現状を整理することをおすすめします。

表面的には、管理職本人の意識や仕事の任せ方の問題に見えるかもしれません。

しかし実際には、会社として管理職に何を期待するのか、どのような成果を評価するのか、管理職自身をどう支援するのかが曖昧な場合も少なくありません。

現場リーダー育成・管理職育成に課題を感じている企業様は、以下のフォームよりご相談ください。

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