それ、上司の自己満足で部下には届いていないかも

1on1・コミュニケーション

はじめに

自分は、部下のことを見ている。

声もかけている。
話しやすい雰囲気もつくっている。
困っていそうなときには気にかけている。
1on1でも話を聞いている。
必要なときには、注意やフィードバックもしている。

そう思っている管理職は少なくありません。

そして、それは決して嘘ではないと思います。

実際に、管理職なりに部下を見ている。
関わろうとしている。
良いチームにしようとしている。

その努力自体を否定する必要はありません。

ただ、ここで一度考えたいことがあります。

大事なのは、上司が「自分はやっている」と思っているかどうかだけではありません。

部下に、どう届いているかです。

上司は見ているつもりでも、部下は見てもらえていないと感じているかもしれない。
上司は話を聞いているつもりでも、部下は本音を言いにくいと感じているかもしれない。
上司は分かっているつもりでも、部下は分かってもらえていないと感じているかもしれない。

このズレがあると、管理職の関わりは自己満足で終わってしまいます。


「見ているつもり」と「見てもらえている」は違う

管理職は、部下の様子を見ています。

出勤時の表情。
仕事の進み具合。
お客様への対応。
周囲との関わり方。
ミスや変化。

現場にいれば、自然と目に入ることも多いでしょう。

だから、

「自分は部下を見ている」

と思います。

ただ、部下からすると、それだけでは「見てもらえている」とは感じないことがあります。

上司が見ていることと、部下が見てもらえていると感じることは違います。

部下が感じるのは、たとえば、

自分の頑張りに気づいてくれた。
変化に声をかけてくれた。
困っていることを拾ってくれた。
自分の仕事の意味を分かってくれた。
見えていないところの苦労にも目を向けてくれた。

こうした関わりです。

ただ近くにいるだけでは、部下には届きません。

「いつも見ているよ」という上司側の認識ではなく、部下が「見てくれている」と感じているか。

ここに目を向ける必要があります。


「話していいよ」と言っても、話しやすいとは限らない

管理職の中には、

「何かあれば、いつでも言って」
「困ったら相談して」
「遠慮しなくていいから」

と伝えている人も多いと思います。

これ自体は大切です。

部下が相談できる入口をつくることは、管理職の役割です。

ただし、上司が「いつでも話していい」と言っていることと、部下が「この人には話しかけやすい」と感じていることは別です。

忙しそうに見える。
話しかけると結論を急がれる。
以前相談したときに軽く流された。
本音を言ったら否定されそう。
どうせ分かってもらえないと思っている。

こうした印象があれば、部下は相談しません。

上司としては、

「自分は相談していいと言っている」

と思うかもしれません。

でも部下からすれば、

「言える雰囲気ではない」

と感じていることがあります。

相談しやすさは、言葉だけではつくられません。

日々の表情、反応、聞き方、忙しさの出し方、否定せず受け止める姿勢。

そうした積み重ねで、部下は「この人には話してもいい」と判断します。


「分かっているつもり」が、ズレを生む

部下のことを分かっている。

これも、管理職が思いやすいことの一つです。

長く一緒に働いている。
仕事ぶりも知っている。
性格も何となく分かっている。
強みや弱みも把握している。

だから、

「あの人はこういうタイプだ」
「この仕事は苦手だろう」
「たぶんこう考えているはずだ」

と判断する。

もちろん、経験から見えることもあります。

ただ、その理解が固定されると、部下の今を見落とします。

以前は苦手だった仕事に、今は挑戦したいと思っているかもしれない。
普段は平気そうに見える人が、実はかなり無理をしているかもしれない。
何も言わない部下が、納得しているとは限らない。
元気に見える部下が、相談するタイミングを失っているだけかもしれない。

上司の「分かっている」は、過去の部下を見ていることがあります。

部下が求めているのは、決めつけではありません。

今の自分を見てくれているか。
今の状況を聞いてくれているか。
今の気持ちや考えを確認してくれているか。

そこです。


上司目線ではやっている。でも、部下目線では届いていない

このズレは、いろいろな場面で起きます。

1on1をしている。
声かけをしている。
注意もしている。
仕事も任せている。
フィードバックもしている。

上司目線では、やっている。

しかし、部下目線では違う受け取り方をしていることがあります。

1on1はしているけれど、結局は上司の確認の時間になっている。
声はかけているけれど、忙しいときだけ声をかけられる。
注意はしているけれど、何を直せばよいか分からない。
任せていると言われるけれど、途中で細かく口を出される。
フィードバックされているけれど、評価なのか指摘なのか分からない。

管理職本人は、悪気なく関わっています。

むしろ、ちゃんとやっているつもりです。

でも、部下には届いていない。

ここが問題です。

管理職の関わりは、やったかどうかだけではなく、どう受け取られているかまで見なければなりません。


自己満足で終わる管理職ほど、ズレに気づきにくい

自分は見ている。
自分は聞いている。
自分は任せている。
自分は伝えている。

この感覚が強くなるほど、部下とのズレには気づきにくくなります。

なぜなら、自分の中ではすでに「やっている」からです。

部下が相談してこないのは、部下の問題。
部下が動かないのは、部下の意識の問題。
部下が本音を言わないのは、部下が消極的だから。

そう見えてしまいます。

もちろん、部下側に課題がある場合もあります。

ただ、管理職として一度は考える必要があります。

自分の関わり方は、相手にどう届いているのか。

部下が相談しにくい空気を、自分がつくっていないか。
任せているつもりで、実は任せ切れていないのではないか。
分かっているつもりで、確認せずに決めつけていないか。

この視点を持てるかどうかで、関わり方は大きく変わります。


必要なのは、部下に合わせることではない

ここで誤解してほしくないのは、

「すべて部下の受け取り方に合わせればよい」

という話ではありません。

管理職には、伝えるべきことがあります。

注意しなければならないこともある。
任せなければならない仕事もある。
会社の方針を伝えなければならない場面もある。
部下が嫌がっても、必要な判断をすることもある。

だから、部下がどう受け取るかばかりを気にして、必要なことを言えなくなってはいけません。

大切なのは、部下に合わせ続けることではありません。

自分の関わりが、相手にどう届いているかを確認することです。

同じことを伝えるにしても、言い方、タイミング、前提の共有、相手の状況への理解で、受け取られ方は変わります。

管理職の仕事は、自分の意図を押し通すことではありません。

相手に届く形にして伝えることです。


これは管理職本人の気づきだけでは限界がある

関わり方のズレは、本人だけでは気づきにくいものです。

自分では自然にやっているつもり。
良かれと思って関わっている。
これまでの経験上、それでうまくいってきた。

だから、自分の関わり方が部下にどう届いているかを、客観的に見る機会が必要です。

ところが多くの会社では、管理職の関わり方が本人任せになっています。

1on1をやっているか。
面談の回数は足りているか。
声かけをしているか。
フィードバックをしているか。

こうした「やっているか」は確認されても、部下にどう届いているかまでは見られていない。

その結果、管理職ごとに関わり方の差が大きくなります。

ある管理職のもとでは部下が相談できる。
別の管理職のもとでは本音が出ない。
同じ1on1でも、成長につながる場合と、ただの進捗確認で終わる場合がある。

これは個人のセンスだけの問題ではありません。

会社として、現場リーダーの関わり方を育てる仕組みが必要です。


会社として育てるべき現場リーダー

会社として育てるべきなのは、

「自分はやっている」

で終わる管理職ではありません。

相手にはどう届いているかを考えられる管理職です。

部下の表情や反応を見る。
自分の伝え方を振り返る。
分かったつもりで決めつけない。
必要なことを、相手に届く形で伝える。
部下が話せない理由を、部下だけの問題にしない。

こうした視点を持てる現場リーダーです。

そのためには、管理職本人の努力だけに任せるのではなく、会社として、

任せ方。
声かけ。
1on1。
注意やフィードバック。
部下の受け止め方の確認。

こうした関わり方の型を整えていく必要があります。

大切なのは、管理職の行動を細かく縛ることではありません。

「やっているつもり」で終わらせず、部下に届く関わり方へ変えていくことです。


おわりに

自分は部下を見ている。
自分は話を聞いている。
自分は分かっている。

そう思うこと自体は、悪いことではありません。

部下のことを考え、関わろうとしている証拠でもあります。

ただし、管理職の関わりは、自分の中で完結してはいけません。

上司が見ているつもりでも、部下が見てもらえていなければ届いていない。

上司が話していいと言っていても、部下が話しやすいと感じていなければ届いていない。

上司が分かっているつもりでも、部下が分かってもらえていないと感じていれば届いていない。

管理職に必要なのは、

「自分はやっている」

で終わらせないことです。

相手にはどう届いているのか。
部下はどう受け取っているのか。
自分の関わり方が、現場の行動につながっているのか。

その目線で、自分の言動を見ることです。

そして、この視点転換を管理職本人の気づきだけに任せてはいけません。

会社として、任せ方、声かけ、1on1、注意、フィードバックの型を整え、部下に届く関わり方ができる現場リーダーを育てる。

それが、現場で機能する管理職育成です。


現場リーダー育成に課題を感じている企業様へ

管理職が、部下と関わっているつもりでも本音が出てこない。
1on1をしているのに、部下の行動変化につながっていない。
声かけやフィードバックが、管理職ごとの感覚に任されている。
店長・SV・係長・主任によって、部下との関わり方に差がある。

このような課題を感じている企業様は、一度、現状を見直すことをおすすめします。

表面的には、管理職本人のコミュニケーション力の問題に見えるかもしれません。

しかし実際には、会社として任せ方、声かけ、1on1、注意、フィードバックの基準や型を持てていないことが原因になっている場合も少なくありません。

現場リーダー育成・管理職育成に課題を感じている企業様は、以下のフォームよりご相談ください。

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