「管理職の仕事ができない」と悩むその前に

管理職の考え方・マインドセット

はじめに

現場が忙しくて、管理職の仕事ができない。

部下を育成する時間がない。
面談もできない。
会議も進められない。
チームの課題を整理する余裕もない。

目の前の現場を回すことで、一日が終わる。

そんな悩みを持つ管理職は少なくありません。

ただ、ここで一度考えてみてほしいことがあります。

「管理職の仕事」とは、何でしょうか。

部下を育成すること。
面談すること。
会議を進めること。
仕組みをつくること。
指示を出すこと。

どれも大切です。

ただし、管理職の仕事は、それだけで固定されるものではありません。

今のチームの状態によって、管理職に求められる役割は変わります。

現場に入る必要があるときもある。
部下育成を優先すべきときもある。
業務の仕組みを見直すべきときもある。
次のリーダーを育てるべきときもある。

問題は、現場に入っていることではありません。

自分の中で「管理職の仕事はこれ」と決めつけ、今の組織に必要な役割を見直せなくなっていることです。


管理職の仕事を、自分で固定していないか

管理職になると、さまざまな仕事を教えられます。

部下を育てる。
目標を管理する。
面談をする。
会議を運営する。
チームをまとめる。

その結果、

「管理職なら、これをやらなければならない」

という型が自分の中にできます。

もちろん、役割を理解することは大切です。

ただ、その型に当てはめすぎると、今の現場に本当に必要なことが見えなくなります。

たとえば、チームに経験の浅い部下が多い時期と、一定の経験を持つ部下がそろっている時期では、管理職の関わり方は同じではありません。

新しい方針が始まった直後と、運用が定着している時期でも違います。

人手不足が深刻なときと、次のリーダー候補を育てる段階でも違います。

組織の状態が変わっているのに、管理職の仕事だけが変わらない。

これでは、現場と役割が合わなくなります。


「現場に入る=管理職の仕事ができていない」ではない

管理職が現場に入ると、

「自分は管理職らしい仕事ができていない」

と感じることがあります。

本当は、部下育成や仕組みづくりをしなければならない。
それなのに、今日も現場の仕事をしてしまった。

そう考え、自分を責める。

ただ、現場に入ること自体が、管理職として間違っているわけではありません。

現場の状況を知る。
部下の困りごとを把握する。
顧客や業務の変化をつかむ。
必要な場面で、チームを支える。

これも管理職の役割です。

問題は、何のために現場へ入っているのかが曖昧なことです。

ただ足りない部分を埋め続けているのか。
現場の課題を把握するために入っているのか。
部下へ仕事を移すために、一緒に入っているのか。
新しいやり方を定着させるために入っているのか。

同じ「現場に入る」でも、目的によって意味は変わります。

管理職の仕事は、現場から離れることではありません。

現場にどう関わるかを考えることです。


管理職の仕事は、組織の状態によって変わる

管理職の仕事は、いつでも同じではありません。

チームが立ち上がったばかりなら、管理職自身が細かく関わる必要があります。

部下が育ってきたら、仕事を任せ、判断の範囲を広げる必要があります。

特定の人に仕事が集中しているなら、役割分担を見直す必要があります。

問題が繰り返されているなら、個別対応ではなく、業務の流れを整える必要があります。

次の管理職候補が必要なら、本人が現場を回すのではなく、誰かに回させる経験をつくらなければなりません。

このように、今のチームに何が必要かによって、管理職が使うべき時間も変わります。

現場に入る時間。
部下と対話する時間。
仕組みを考える時間。
上司や他部署と調整する時間。

すべてを均等に行う必要はありません。

今の組織にとって、何を優先するのか。

そこを考え、役割を組み替えることが管理職の仕事です。


「管理職らしい仕事」に縛られると、現場から離れてしまう

管理職になると、

「自分はもうプレイヤーではない」
「現場の仕事は部下に任せるべきだ」
「自分は管理に専念すべきだ」

と考える人もいます。

役割転換という意味では、必要な視点です。

ただし、それを固定化すると、別の問題が起きます。

現場の実態が見えなくなる。
部下が何に困っているのか分からなくなる。
会議や面談で話していることが、実際の仕事とかみ合わなくなる。

管理職の仕事は、現場業務をしないことではありません。

現場に入り続けることでもありません。

必要な距離を取りながら、必要なときには入る。

そして、そこで得た情報を、育成や改善、判断につなげる。

この行き来が必要です。


仕事を増やす前に、役割を見直す

管理職の仕事ができていないと感じると、

「もっと時間をつくらなければ」
「面談の回数を増やさなければ」
「会議をきちんとやらなければ」

と、仕事を足そうとします。

ただ、すでに現場業務を多く抱えている状態で仕事を足せば、さらに苦しくなります。

必要なのは、何を追加するかだけではありません。

今、自分がやっている仕事のうち、

本当に管理職がやる必要があるものは何か。
今後、部下へ移していくべきものは何か。
今の状況では、あえて自分が担うべきものは何か。
続けているだけで、実は必要性が下がっているものは何か。

こうした役割の見直しです。

管理職の仕事は、最初から決められた業務をすべてこなすことではありません。

組織の状態に合わせて、何に時間を使うかを決めることです。


できないのではなく、今の役割が合っていないこともある

管理職自身は、

「自分は時間の使い方が下手だ」
「管理職として能力が足りない」
「結局、目の前の仕事しかできない」

と考えてしまうことがあります。

しかし、本人の能力だけが原因とは限りません。

今のチームに必要な役割と、管理職が担っている仕事が合っていない。

その可能性もあります。

本来は部下へ任せるべき仕事を抱えている。
逆に、現場への関与が必要なのに、管理業務だけを優先している。
部下育成が必要な段階なのに、日々の処理に時間を使っている。
業務改善が必要なのに、個別の問題対応を続けている。

こうしたズレがあると、どれだけ頑張っても管理職の仕事は終わりません。

必要なのは、

「もっと頑張ること」

ではなく、

「今、このチームに必要な管理職の役割は何か」

を見直すことです。


これは管理職本人だけで決めるものでもない

管理職の役割を見直すといっても、本人だけで自由に決められるものではありません。

会社が管理職に何を求めているのか。
上司は何を期待しているのか。
チームは今、どのような状態なのか。
今後、どのような組織にしたいのか。

これらをすり合わせる必要があります。

ところが、多くの会社では、

「管理職なのだから、部下育成も現場運営も数字管理も、すべてやってほしい」

という状態になっています。

求められる仕事は多い。

しかし、何を優先するのかは示されていない。

その結果、管理職は目の前で最も緊急な仕事から手をつけます。

そして、育成や改善など、すぐには結果の出ない仕事が後回しになります。

管理職の仕事を本人任せにするだけでは、役割は整理されません。

会社として、今の組織に何を求め、そのために管理職が何を担うのかを明確にする必要があります。


管理職育成で必要なのは、役割を覚えさせることだけではない

管理職研修では、

部下育成。
目標管理。
1on1。
コミュニケーション。
業務改善。

さまざまなテーマを学びます。

どれも必要です。

ただ、知識やスキルを増やすだけでは、現場で使い切れません。

管理職本人が、

今のチームでは何を優先すべきか。
どの役割を自分が担うべきか。
どの仕事を部下へ移すべきか。
どこまで現場へ入る必要があるか。

これを考えられなければ、学んだことが新しい仕事として追加されるだけです。

管理職育成で必要なのは、

「管理職の仕事はこれです」

と固定された役割を教えることだけではありません。

組織の状態を見て、自分の役割を変えられる管理職を育てることです。


おわりに

現場が忙しくて、管理職の仕事ができない。

そう感じたとき、

「もっと時間をつくらなければ」
「自分は管理職に向いていない」

と考える前に、一度立ち止まってほしいと思います。

そもそも、自分で管理職の仕事を固定していないでしょうか。

管理職の仕事は、部下育成だけではありません。
面談や会議だけでもありません。
現場に入らないことでもありません。

今の組織に必要なことを見極め、役割と時間の使い方を変えることです。

現場に深く入るべきときもある。
部下に任せるべきときもある。
仕組みを見直すべきときもある。
次のリーダー育成を優先すべきときもある。

大切なのは、

「管理職らしい仕事ができているか」

ではなく、

「今のチームに必要な役割を果たせているか」

です。

そして、その役割を管理職本人だけに考えさせてはいけません。

会社として、今の組織に何が必要なのか。
管理職に何を優先させるのか。
何を担わせ、何を手放させるのか。

そこを一緒に整理する必要があります。

管理職の仕事を固定するのではなく、組織の状態に合わせて変えられるようにする。

それが、現場で機能する管理職育成です。


現場リーダー育成に課題を感じている企業様へ

管理職が、日々の仕事に追われている。
部下育成や業務改善が後回しになっている。
店長・SV・係長・主任によって、管理職としての役割認識が違う。
研修で学んだ内容が、現場で新しい仕事として追加されている。

このような課題を感じている企業様は、一度、現状を整理することをおすすめします。

表面的には、管理職本人の時間管理や任せ方の問題に見えるかもしれません。

しかし実際には、今の組織に必要な管理職の役割が明確になっているか、本人が担う仕事と手放す仕事が整理されているかに原因がある場合も少なくありません。

現場リーダー育成・管理職育成に課題を感じている企業様は、以下のフォームよりご相談ください。

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