はじめに
管理職になったら、こうあるべき。
部下には的確に指示しなければいけない。
間違っていたら、きちんと注意しなければいけない。
頼られる存在でいなければいけない。
迷っている姿を見せてはいけない。
弱さを見せてはいけない。
そんな「あるべき」に、苦しくなっていないでしょうか。
管理職になると、急に自分の中に理想の上司像が出てきます。
堂々としている上司。
的確に判断できる上司。
部下をうまく動かせる上司。
厳しく言うべき時に言える上司。
いつも余裕がある上司。
もちろん、そうなれたらいい。
でも、現実はそんなに簡単ではありません。
本当は、強く言うのが得意ではない。
本当は、すぐに的確な言葉が出てこない。
本当は、部下にどう伝えればいいか迷っている。
本当は、自分が管理職として合っているのか不安になる。
それなのに、無理に「あるべき上司」を演じようとする。
これは、かなりしんどいです。
「あるべき」は、管理職を苦しくする
上司として成長しようとすることは大事です。
指示の出し方を学ぶ。
注意の仕方を身につける。
部下との関わり方を見直す。
それ自体は必要です。
ただ、問題はそこではありません。
まだ自分が使いこなせていない関わり方を、無理に使おうとすることです。
本当は整理しながら話すタイプなのに、無理に強く言おうとする。
本当は相手の話を聞いてから考えたいのに、すぐ答えを出そうとする。
本当は一緒に確認しながら進めたいのに、上司らしく一方的に指示しようとする。
その結果、言葉が硬くなる。
表情がこわばる。
部下との距離が広がる。
上司らしく振る舞おうとしているのに、むしろ部下には届かなくなる。
これはかなりもったいないです。
「あるべき」に合わせようとしすぎると、自分の持ち味まで消えてしまいます。
使えない武器を振り回さなくていい
少し強い言い方をします。
使えない武器を、無理に振り回さなくていいです。
強く言うのが苦手なのに、無理に厳しい上司を演じる。
即答が苦手なのに、何でもその場で答えようとする。
細かく見るのが苦手なのに、完璧に管理しようとする。
本当は対話型なのに、指示命令型で動かそうとする。
それは、しんどいだけです。
しかも、部下にも伝わります。
「なんだか無理している」
「言葉だけが強い」
「本音で話している感じがしない」
「この人は何を大事にしているのか分かりにくい」
こう見えることもあります。
管理職に必要なのは、理想の上司を演じることではありません。
今の自分が使える関わり方で、部下と向き合うことです。
強く言うことだけが、指導ではない
たとえば、部下に注意しなければいけない場面があるとします。
その時に、必ずしも強い言葉で言う必要はありません。
「これはだめです」
「なぜできないんですか」
「もっとちゃんとしてください」
こう言わないと指導できないわけではありません。
強く言うのが得意ではないなら、こう伝えてもいい。
「少し一緒に整理しませんか」
「今、どこでズレたのか確認したいです」
「このままだと困るので、次からどう変えるか考えましょう」
「ここは見過ごせないので、きちんと話したいです」
これでも十分に向き合えます。
注意や指導は、相手を押さえつけることではありません。
何が問題なのかを明確にする。
なぜ変える必要があるのかを伝える。
次にどう行動するかを決める。
そこができていれば、強い言葉でなくても指導になります。
自分に合う関わり方を見つける
部下との向き合い方は、一つではありません。
すぐに答えを出す上司もいる。
一緒に整理する上司もいる。
少し距離を置いて見守る上司もいる。
こまめに声をかける上司もいる。
必要な場面だけ、はっきり伝える上司もいる。
どれが絶対に正しいという話ではありません。
大事なのは、
自分の職場で、
目の前の部下に対して、
今の自分がどんな関わり方を使えるのか。
ここを整理することです。
「理想の管理職ならどうするか」ではなく、
「今の自分なら、どう関われば部下に届くのか」。
この問いの方が現実的です。
管理職として成長するために、理想を持つことは大事です。
でも、今の自分に合わない形を無理に使っても、部下との関係はよくなりません。
おわりに
管理職になると、いろいろな「あるべき」に追われます。
的確に指示しなければいけない。
部下を注意しなければいけない。
頼られる存在でいなければいけない。
迷ってはいけない。
弱さを見せてはいけない。
でも、その「あるべき」が、自分を苦しめていることがあります。
大事なのは、理想の上司を演じることではありません。
今の自分が使える関わり方で、部下と向き合うことです。
強く言えないなら、整理しながら伝えればいい。
すぐ答えが出ないなら、一緒に考えればいい。
完璧に導けないなら、まず相手の話を聞けばいい。
それも、管理職としての関わり方です。
使えない武器を無理に振り回さなくていい。
あなたの職場で、あなたの部下に、あなたの言葉でどう関わるのか。
そこを見つけることの方が大事です。
「あるべき」に苦しんでいるなら、一度、自分に合った関わり方を見直してみてもいいのではないでしょうか。
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