部下が前向きにならない。正直、どうしていいか分からない。

1on1・コミュニケーション

はじめに

部下が前向きにならない。

仕事に対して、どこか受け身に見える。
言われたことはやるけれど、自分から動こうとしない。
面談でキャリアの話をしても、反応が薄い。
「将来どうしたいの?」と聞いても、はっきりした答えが返ってこない。

管理職としては、少しもどかしくなることがあります。

もっと自分で考えてほしい。
もう少し主体的に動いてほしい。
せっかくなら、今の仕事を前向きに捉えてほしい。
将来のことも、自分ごととして考えてほしい。

そう思うのは自然です。

現場を預かる管理職にとって、部下が前向きに働いてくれるかどうかは、とても大きな問題です。

部下が受け身のままだと、指示待ちが増える。
新しい仕事を任せにくくなる。
チーム全体の空気も重くなる。
結局、管理職自身が抱える仕事も増えていく。

だから、ついこう感じてしまう。

「なんで、もっと前向きになれないんだろう」
「なぜ、自分の将来を考えないんだろう」
「やる気がないのかな」

でも、ここで一度立ち止まって考えたいことがあります。

部下は本当に、やる気がないのでしょうか。

もしかすると、部下は前向きになりたくないのではなく、前向きになれるだけの景色が見えていないのかもしれません。


部下にも、分からないのかもしれない

管理職から見ると、部下の姿勢が物足りなく見えることがあります。

もっと成長できるのに。
もう少し挑戦すればいいのに。
今の仕事を頑張れば、次につながるのに。

そう見える。

でも、部下本人には、その「次」が見えていないことがあります。

この仕事を続けた先に、何があるのか。
何を頑張れば成長したと言えるのか。
今の経験が、将来どう役に立つのか。
自分はこの会社で、どんな役割を担えるようになるのか。

そこが見えていない。

だから、前向きになれない。

管理職は、すでにいろいろな経験をしています。

失敗した経験もある。
評価された経験もある。
異動や昇格、役割変更を見てきた経験もある。
会社の方針や組織の動きも、部下より少し見えています。

だから、今の仕事が何につながるのかを、ある程度想像できます。

しかし、部下は違います。

目の前の仕事で精一杯かもしれない。
今の役割しか見えていないかもしれない。
次のステップを知らないかもしれない。
自分が何を期待されているのか、分かっていないかもしれない。

見えている景色が違うのです。


視界不良のまま、前向きにはなりにくい

たとえば、霧の中を歩いているような状態を想像してみてください。

道はある。
歩かなければならないことも分かっている。
でも、先が見えない。
どこに向かっているのかも分からない。
このまま進んでいいのかも分からない。

その状態で、

「もっと前向きに歩こう」
「主体的に進もう」
「将来を考えよう」

と言われても、なかなか難しいと思います。

部下も同じです。

どんなキャリアステップがあるのか。
どうすれば成長したと言えるのか。
何を頑張れば、次の仕事につながるのか。
自分にはどんな可能性があるのか。

そこが見えないままでは、前向きになれません。

目の前の仕事が、ただの作業に見える。
頑張っても何が変わるのか分からない。
任される仕事が増えるだけに感じる。
成長と言われても、実感が持てない。

そうなると、部下は受け身になります。

やる気がないというより、どこに向かえばいいのか分からない。

主体性がないというより、自分で選べる材料がない。

キャリアを考えていないというより、考えるための情報や言葉を持っていない。

そういう状態かもしれません。


「部下のやる気がない」で終わらせない

もちろん、部下本人にも考える責任はあります。

何でも上司が用意してくれるわけではありません。
自分の仕事や将来について、自分で向き合うことも必要です。
受け身のままでいい、という話ではありません。

ただ、管理職がすぐに「やる気がない」と決めつけてしまうと、見えなくなるものがあります。

なぜ前向きになれないのか。
何が見えていないのか。
どこで不安になっているのか。
何を期待されているか分かっているのか。
次の成長イメージを持てているのか。

そこを見ないまま、

「もっと主体的に」
「自分で考えて」
「将来を考えた方がいい」

と伝えても、部下には届きにくい。

むしろ、部下からすると、

「考えろと言われても、何を考えればいいのか分からない」
「前向きになれと言われても、先が見えない」
「結局、精神論を言われているだけ」

と感じてしまうこともあります。

管理職に必要なのは、部下のやる気を責めることではありません。

部下が見えている景色を確認することです。


管理職ができるのは、完璧な答えを用意することではない

ここで誤解してほしくないのは、管理職が部下のキャリアの正解を決める必要はないということです。

上司が、部下の将来をすべて設計する必要はありません。
「あなたはこうなるべき」と押しつける必要もありません。
会社に用意できない未来を、無責任に約束する必要もありません。

管理職にできることは、完璧な答えを与えることではありません。

部下の視界を少し広げることです。

今の仕事で、どんな力が身につくのか。
この経験が、次にどんな役割につながるのか。
今できていることは何か。
次に伸ばせることは何か。
本人が大切にしたい働き方は何か。
会社の中で、どんな選択肢があり得るのか。

そうしたことを、部下と一緒に言葉にしていく。

それだけでも、部下の見える景色は変わります。

「この仕事には意味があるのかもしれない」
「次に挑戦することが少し見えてきた」
「自分にも伸ばせる部分があるかもしれない」
「今の経験は、先につながるのかもしれない」

そう思えると、部下は少し前を向きやすくなります。


キャリアの話は、立派な将来像でなくていい

キャリアの話というと、管理職も部下も少し構えてしまいます。

将来の目標を聞かなければいけない。
何年後の姿を描かなければいけない。
昇格したいのか、専門性を高めたいのか、答えを出さなければいけない。

そう考えると、話が重くなります。

でも、最初から立派な将来像はいりません。

今の仕事で、何が少し面白いのか。
どんな業務なら、もう少しやってみたいと思えるのか。
逆に、何に疲れているのか。
どんな働き方なら続けやすいのか。
どんな場面で、自分が役に立っていると感じるのか。

こうした小さな問いからでいい。

部下が自分の仕事や働き方を考える入口は、必ずしも大きな夢や目標である必要はありません。

むしろ、現場ではもっと身近なところから始まります。

「この仕事は嫌いではない」
「人に教えるのは少し得意かもしれない」
「お客様対応は苦手だと思っていたけれど、感謝されると嬉しい」
「数字を見るのは意外と嫌いではない」
「後輩の相談に乗るのは向いているかもしれない」

そうした小さな気づきが、次の成長につながります。

管理職は、その気づきを一緒に拾う存在です。


前向きさは、押しつけるものではなく育てるもの

部下を前向きにしたい。

そう思う管理職ほど、つい言葉で前向きにさせようとします。

「もっと頑張ろう」
「主体的に動こう」
「将来のためになるよ」
「成長できる機会だよ」

もちろん、励ましが必要な場面もあります。

ただ、前向きさは、言葉だけで生まれるものではありません。

自分の仕事に意味を感じる。
少し先の成長が見える。
今の努力が何につながるのか分かる。
自分の可能性を誰かが一緒に見てくれる。

そうした積み重ねの中で、少しずつ育っていくものです。

だから、管理職が見るべきなのは、部下のやる気の有無だけではありません。

部下が前を向けるだけの材料を持てているか。

そこです。

材料がないまま主体性を求めても、部下は動きにくい。

景色が見えないまま前向きさを求めても、部下は迷います。

管理職の関わり方次第で、部下の視界は狭くも広くもなります。


まずは、管理職自身の悩みを言葉にしてみる

部下が前向きにならない。

そう感じている管理職自身も、実は悩んでいるはずです。

どう声をかければいいのか。
1on1で何を聞けばいいのか。
キャリアの話をどこまでしていいのか。
本人にやる気がないように見えるとき、どう関わればいいのか。
自分の関わり方が合っているのか分からない。

こうした悩みを、管理職は意外と一人で抱えています。

上司には相談しにくい。
部下にはもちろん言えない。
同僚に話しても、愚痴のようになってしまう。
会社の研修では、一般論は学べても、自分の現場にどう当てはめるかまでは整理しきれない。

だからこそ、一度、自分の状況を言葉にしてみることが大切です。

部下が前向きにならないと感じている背景には、部下側の問題だけでなく、管理職自身の関わり方、役割の捉え方、仕事の抱え方が関係していることもあります。

どこまで自分が関わるべきなのか。
どこからは本人に任せるべきなのか。
何を聞けばよくて、何を押しつけてはいけないのか。
今の自分は、部下を育てようとしているのか、それとも前向きにさせようと焦っているのか。

こうしたことは、一人で考えているだけでは整理しにくいものです。

管理職本人が自分の悩みを整理することで、部下への見方も少し変わります。

部下を責める前に、自分が何に困っているのかを見つめ直す。

そこから、関わり方の糸口が見えてくることがあります。


会社としても、管理職任せにしない

一方で、部下の視界を広げる関わりを、管理職個人のセンスだけに任せるのは危険です。

ある管理職は、部下と丁寧に対話する。
別の管理職は、キャリアの話をほとんどしない。
また別の管理職は、「やる気がない」で終わらせてしまう。

これでは、部下がどの上司のもとで働くかによって、見える景色が大きく変わってしまいます。

会社としても、考えるべきことがあります。

現場リーダーに、部下の成長をどう支援してほしいのか。
キャリアや役割の話を、どのように扱ってほしいのか。
若手やメンバーに、どんな成長機会を見せられているのか。
1on1や面談が、単なる進捗確認で終わっていないか。

ここが整っていないと、部下の前向きさは管理職任せになります。

そして管理職も、どう関わればよいか分からないまま悩みます。

部下が前向きにならない問題は、部下本人だけの問題ではありません。

管理職本人が悩みを整理することも必要です。

同時に、会社として現場リーダーが部下と向き合える土台をつくることも必要です。

ただし、最初から大きな制度をつくる必要はありません。

まずは、現場で何が起きているのか。
管理職がどこで迷っているのか。
部下との関わりのどこに詰まりがあるのか。

そこを見えるようにすることから始まります。


おわりに

部下が前向きにならない。

そう感じたとき、すぐに「やる気がない」と決めつけないことです。

もしかすると部下は、前向きになりたくないのではなく、前を向けるだけの景色が見えていないのかもしれません。

今の仕事が何につながるのか。
どんな成長があるのか。
次にどんな経験を積めるのか。
自分にはどんな可能性があるのか。

そこが見えないまま、主体性だけを求められているのかもしれません。

管理職にできることは、部下の未来を決めることではありません。

部下の見えている景色を確認し、少し先の可能性を一緒に考えることです。

そして、それは部下のためだけではありません。

管理職自身の関わり方を見直すことにもつながります。

自分は、部下に前向きさを求める前に、部下の視界を広げられているか。
部下のやる気を責める前に、今の仕事の意味や次の成長を言葉にできているか。
キャリアの話を、立派な目標づくりだけにしていないか。

この問いを持てるかどうかで、部下との関わり方は変わります。

そして、もし今、管理職として悩んでいるなら、それを一人で抱え込まなくてもいいと思います。

部下が前向きにならない。
1on1で本音が出てこない。
キャリアの話をどう進めればよいか分からない。
自分の関わり方が合っているのか不安になる。

こうした悩みは、管理職として真剣に部下と向き合っているからこそ出てくるものです。

大切なのは、その悩みを根性論で片づけないこと。

一度、自分の状況を言葉にしてみることです。

部下を前向きにしたいなら、やる気を責める前に、部下の見えている景色を広げる。

そしてその前に、管理職自身も、自分が何に悩み、どこで迷っているのかを整理する。

それが、現場で部下を育てる第一歩になります。


管理職個人のお悩みも、会社の管理職育成もご相談ください

管理職本人として、

「部下が前向きにならず、どう関わればよいか分からない」
「1on1や面談で、キャリアの話をどう扱えばよいか悩んでいる」
「部下のやる気を引き出したいが、何から見直せばよいか分からない」
「自分の関わり方や、管理職としての立ち位置を整理したい」

という方は、一人で抱え込まず、現在のお悩みを一度言語化してみることをおすすめします。

管理職としてのお悩みや、仕事・キャリアについて個別に相談したい方は、以下のフォームよりお申し込みください。

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また、企業として、

部下の主体性が育たない。
1on1や面談が、単なる進捗確認で終わっている。
管理職によって、部下への関わり方に差がある。
現場リーダーが、部下の成長支援やキャリア対話に悩んでいる。

このような課題を感じている場合は、現場リーダー育成・管理職育成の仕組みを見直すタイミングかもしれません。

法人として、現場リーダー育成・管理職育成に課題を感じている企業様は、以下のフォームよりご相談ください。

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