見るべきは数字じゃない

仕事の進め方・リーダーの実務

はじめに

売上が足りない。
目標に届かない。
KPIが追いつかない。

管理職になると、数字から逃げることはできません。

上司から進捗を問われる。
会議で未達の理由を説明する。
部下にも数字を意識させなければならない。

だから、数字が悪いと焦ります。

「なぜ動かないんだろう」
「なぜ行動量が増えないんだろう」
「もっと危機感を持ってほしい」

そう思うのは自然です。

ただ、ここで一度立ち止まりたいことがあります。

数字だけを見ても、数字は変わりません。

数字の奥には、必ず人がいます。

売上をつくっている人がいる。
提案している人がいる。
迷っている人がいる。
止まっている人がいる。

管理職が本当に見るべきなのは、数字そのものではなく、その数字の奥で動いている部下の状態です。


数字を見せても、現場が動くとは限らない

管理職として、数字を見ている。

毎日確認している。
週次で進捗も追っている。
部下にも共有している。
会議でも数字を出している。

それなのに、現場がなかなか動かない。

そんなことがあります。

数字は見ている。
でも、部下の行動が変わらない。
声をかけている。
でも、翌週も同じ状態が続く。
会議で指摘している。
でも、現場の空気は変わらない。

管理職としては、焦ります。

「何度も言っているのに」
「数字を見せているのに」
「危機感を持ってほしいのに」

そう感じるのは自然です。

上司からも数字を問われる。
自分の評価にも関わる。
チームとして成果を出さなければならない。

だから、数字に目が向く。

ただ、数字を見せるだけで部下が動くとは限りません。

「達成率が低い」
「行動量が足りない」
「提案数が少ない」
「もっと件数を増やして」

そう言われても、部下の中で何を変えればいいのかが見えていないことがあります。

数字は結果です。

その結果に至るまでには、部下の日々の行動があります。

そして、その行動の手前には、部下の理解、迷い、不安、思い込み、経験不足があります。

そこを見ないまま数字だけを追っても、現場はなかなか動きません。


数字は、現場で起きていることのサイン

数字が悪いとき、管理職はつい数字そのものを何とかしようとします。

売上が足りないから、売上を上げよう。
提案数が少ないから、提案数を増やそう。
行動量が足りないから、もっと動こう。
成約率が低いから、もっと工夫しよう。

もちろん、それ自体は間違いではありません。

ただ、数字はあくまで結果です。

売上が上がらない背景には、接客の入り方が弱いのかもしれない。
提案数が少ない背景には、部下が声をかけることを怖がっているのかもしれない。
成約率が低い背景には、お客様のニーズを聞き取れていないのかもしれない。
行動量が少ない背景には、何を優先すべきか分からず止まっているのかもしれない。

数字は、現場で何かが起きているサインです。

だから、管理職が見るべきなのは、

「数字が悪い」

で終わらせないことです。

どこで止まっているのか。
何が分かっていないのか。
何を怖がっているのか。
何に迷っているのか。
どの行動が足りないのか。
どの行動の質がズレているのか。

そこまで見にいく必要があります。

数字を見て終わる管理職と、数字の奥を見にいく管理職では、部下への関わり方が変わります。


「もっと頑張れ」では、行動は変わらない

数字が悪いと、つい言いたくなります。

「もっと頑張ろう」
「行動量を増やそう」
「意識を高く持とう」
「危機感を持とう」
「目標にこだわろう」

こうした言葉が必要な場面もあります。

ただ、それだけでは部下の行動は変わりにくい。

なぜなら、部下本人も頑張っていないつもりではないことが多いからです。

本人なりにやっている。
でも成果につながっていない。
何を変えればいいのか分からない。
どこがズレているのか分からない。
失敗した経験があって、次に踏み出せない。

そんな状態の部下に、

「もっと頑張れ」

と言っても、具体的な行動にはつながりません。

部下からすると、

「頑張っているつもりなんだけど」
「これ以上、何をすればいいのか分からない」
「結局、数字が悪いと責められるだけだ」

と感じてしまうこともあります。

管理職に必要なのは、数字を使って部下を追い込むことではありません。

数字をきっかけに、部下の行動を一緒に見直すことです。


部下はどこで止まっているのか

数字の奥を見るとは、部下を甘やかすことではありません。

数字が悪い理由を、感情的に慰めることでもありません。

むしろ、数字だけを責めるよりも、もっと具体的に現場を見るということです。

部下は今、どこで止まっているのか。

そもそも目標を自分ごととして理解できているのか。
何をすれば数字につながるのか分かっているのか。
行動の優先順位をつけられているのか。
お客様や相手に声をかけることを怖がっていないか。
提案の質に不安がないか。
断られることを避けていないか。
成功体験が少なく、自信をなくしていないか。

ここを見なければ、打ち手は見えてきません。

たとえば、提案数が少ない部下がいたとします。

単純に、

「もっと提案して」

と言っても、増えない場合があります。

その部下は、提案の必要性を理解していないのかもしれない。
声をかけるタイミングが分からないのかもしれない。
断られるのが怖いのかもしれない。
自分の言い方に自信がないのかもしれない。
そもそも、提案する商品やサービスの価値をうまく言葉にできていないのかもしれない。

原因が違えば、関わり方も変わります。

理解できていないなら、目的を確認する。
タイミングが分からないなら、見るポイントを伝える。
怖がっているなら、小さく試せる場面をつくる。
言葉にできていないなら、一緒に言い方を考える。

数字だけを見ていると、全部まとめて「行動量不足」に見えます。

でも、部下の状態を見れば、必要な関わりは一人ひとり違うと分かります。


数字を見る管理職から、人を見る管理職へ

管理職に求められるのは、数字を無視することではありません。

数字は見なければいけません。

ただ、数字を見るだけで終わらせないことです。

数字を見る。
そして、その奥にいる人を見る。

誰が、どこで止まっているのか。
誰が、何に迷っているのか。
誰が、何を怖がっているのか。
誰が、どんな支援を必要としているのか。

そこまで見にいく。

それが、現場を動かす管理職の仕事です。

数字を見て、

「悪い」
「足りない」
「もっとやれ」

で終わると、部下は防御的になります。

でも、数字をきっかけに、

「どこで止まっている?」
「何がやりにくい?」
「次に変えるとしたら、どの行動だろう?」
「一緒に見直すなら、どこから始める?」

と関われると、部下は自分の行動を見直しやすくなります。

数字は、部下を責めるための材料ではありません。

部下と一緒に現場を見直すための入口です。


管理職自身も、数字に追われて苦しくなっていないか

数字を見ることが増えると、管理職自身も苦しくなります。

毎日数字を確認する。
上司から進捗を問われる。
会議で説明する。
未達の理由を求められる。
部下にも数字を追わせなければならない。

その中で、管理職自身が追い詰められていくことがあります。

数字が悪いと、自分が否定されているように感じる。
部下が動かないと、自分の管理不足に見える。
上司から問われるたびに、焦りが強くなる。
焦るから、部下への言い方も強くなる。
そして、現場の空気が重くなる。

これは、現場管理職にとってかなりリアルな悩みだと思います。

だからこそ、管理職本人も一度、自分の状況を見直すことが必要です。

自分は今、数字だけを見て焦っていないか。
部下の状態を見る前に、結果だけを責めていないか。
数字を変えるために、どの行動を変えたいのか見えているか。
その行動を変えるために、部下へどんな関わりが必要なのか。

ここが整理できると、部下への伝え方は少し変わります。

数字に追われる管理職から、数字を使って現場を動かす管理職へ。

その転換が必要です。


会社としても、数字だけを管理職に背負わせない

一方で、これは管理職個人の努力だけで解決できる問題ではありません。

会社が数字だけを求め続ければ、管理職も数字だけを見るようになります。

売上はどうなっているか。
達成率はどうか。
行動量は足りているか。
未達の理由は何か。

もちろん、会社として数字を追うことは必要です。

事業である以上、成果を出す責任があります。

ただ、数字だけを詰めても現場は動きません。

会社として考えるべきなのは、管理職が数字の奥にある現場の状態を見られるようにすることです。

結果だけでなく、現場で起きているプロセスを見る。
管理職が部下とどう関わっているのかを見る。
1on1や面談が、数字確認だけで終わっていないかを見る。
部下の行動を変えるための関わり方を、管理職が学べているかを見る。

ここが整っていないと、管理職は数字と上司の間で苦しくなります。

そして部下には、数字だけが降りていく。

その結果、現場はさらに動きにくくなります。

数字を追うことと、人を見ることは、対立するものではありません。

数字を変えたいからこそ、人を見る必要があるのです。


おわりに

見るべきは数字じゃない。

これは、数字を見なくていいという意味ではありません。

管理職は数字を見る必要があります。
目標との差も見る必要があります。
結果を確認する必要もあります。

ただ、数字だけを見ても、数字は変わりません。

数字を変えるのは、現場で動いている部下です。

売上を変えるのも、接客を変えるのも、提案の質を変えるのも、行動量を変えるのも、日々の現場で動いている人です。

だから、管理職が本当に見るべきなのは、数字の奥にいる部下です。

部下は今、どこで止まっているのか。
何が分からないのか。
何を怖がっているのか。
どこで迷っているのか。
どんな関わりがあれば、次の行動に移れるのか。

そこを見ることです。

数字を責めるのではなく、数字をきっかけに部下の行動を見直す。

数字で追い込むのではなく、数字の奥にある状態を見て関わり方を変える。

それが、現場を動かす管理職の仕事です。

そして、もし今、数字に追われて苦しくなっているなら、その悩みを一人で抱え込まなくてもいいと思います。

数字を見ているのに、チームが動かない。
部下にどう伝えればよいか分からない。
上司から数字を問われ、部下にはうまく届かない。
自分の関わり方が、現場を動かせているのか不安になる。

こうした悩みは、管理職として真剣に現場と向き合っているからこそ出てくるものです。

大切なのは、数字が悪いことを根性論で片づけないこと。

一度、自分の状況を言葉にしてみることです。

数字を変えたいなら、数字だけを見るのではなく、数字の奥にいる人を見る。

そしてその前に、管理職自身も、自分が何に追われ、どこで迷っているのかを整理する。

それが、現場を動かす第一歩になります。


管理職個人のお悩みも、会社の管理職育成もご相談ください

管理職本人として、

「数字を追っているのに、チームが動かない」
「部下にどう伝えればよいか分からない」
「数字を見せても、部下の行動が変わらない」
「自分の関わり方や、管理職としての立ち位置を整理したい」

という方は、一人で抱え込まず、現在のお悩みを一度言語化してみることをおすすめします。

管理職としてのお悩みや、仕事・キャリアについて個別に相談したい方は、以下のフォームよりお申し込みください。

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また、企業として、

管理職が数字を追っているのに、現場が動かない。
1on1や面談が、数字確認だけで終わっている。
店長・SV・係長・主任によって、数字の見方や部下への関わり方に差がある。
現場リーダーが、数字を部下の行動変化につなげられていない。

このような課題を感じている場合は、現場リーダー育成・管理職育成の仕組みを見直すタイミングかもしれません。

法人として、現場リーダー育成・管理職育成に課題を感じている企業様は、以下のフォームよりご相談ください。

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