はじめに
部下が相談に来たとき、あなたはどんなふうに対応していますか?
「こうすればいいよ」「それならこうやれば解決するよ」——つい、答えをすぐ出していませんか?
もちろん、上司として解決策を提示するのは大事な役割です。
でも実は、部下が本当に求めているものは正解じゃないことが多いんです。
部下が心から欲しいのは、「あ、わかってもらえた」という感覚。
つまり共感です。
この記事では、「答え」を出す上司から、「共感」で信頼を深める上司へシフトするための考え方と、すぐ使える具体的ステップをお伝えします。
そもそも、なぜ上司はすぐ「答え」を出してしまうのか?
これ、私も現場でたくさん見てきましたし、正直自分もやっていました。
上司がすぐに答えを出してしまう背景には、いくつかの理由があります。
理由1:経験が邪魔をする
管理職になると、それまでのキャリアで多くの経験を積んでいます。
「このケースならこうすればうまくいく」というパターンが頭の中にたくさんあるんです。
だから、部下が相談してきた瞬間に頭の中で答えが浮かぶ。
そして「それを教えてあげることが上司の役目だ」と思い込んでしまうんです。
理由2:「答えなきゃ」と思ってしまう
上司=部下を導く人、というプレッシャーがありますよね。
だから、答えを出せないと「上司失格なんじゃないか」と不安になってしまう。
結果として、部下の話を最後まで聞く前に「これが正解だよ」と言いたくなるんです。
理由3:「早く解決すること」が正義だと思っている
現場は常に忙しい。
だから「問題は早く解決するほうがいい」と信じている人も多いです。
でも、スピードを優先するあまり、部下がどう感じているか、何を求めているかに意識が向かなくなってしまいます。
理由4:共感することの価値を知らない
実は、「共感がどれほど大きな効果を持つか」を教わる機会ってほとんどありません。
だから、「とにかく解決策を出せばいい」と思い込んでしまい、共感よりも答えを優先してしまうんです。
答えを出すだけの上司が陥る3つの落とし穴
1. 部下がだんだん黙るようになる
相談に来た部下に「こうすればいいじゃん」と即答してしまうと、部下はこう思います。
「あ、もうこれ以上言わなくていいか」
「結局、自分の気持ちは聞いてもらえないんだな」
こうなると次第に相談してこなくなり、気づけば表面的な会話しかしていない関係になってしまいます。
2. 部下の成長の機会を奪ってしまう
答えをすぐに渡すと、部下は自分で考える時間を失います。
「どうしたらいいかは上司が決めてくれる」と思い込んでしまい、考える力や判断力が育たなくなるんです。
3. 部下のやる気が下がる
部下にとって一番つらいのは、気持ちを受け止めてもらえないこと。
正解をもらっても、
「なんか、仕事として処理されたな…」
と感じてしまい、モチベーションが下がることすらあります。
共感する上司になると何が変わるのか?
心理的安全性が高まる
「この人はちゃんと話を聞いてくれる」と思えるだけで、部下は安心して相談できるようになります。
これが心理的安全性の第一歩。チーム全体がオープンになり、相談や提案が増えていきます。
部下が自分で考えるようになる
共感してもらえると、部下は「自分の意見が大事にされている」と感じます。
すると、答えを待つだけじゃなく、自分から考え、提案してくるようになります。
信頼関係が深まる
共感の積み重ねは、信頼の積み重ねでもあります。
信頼関係ができると、厳しいフィードバックも受け止めてもらいやすくなります。
結果、チーム全体が強くなります。
共感する上司になるためのステップ
ステップ1:まずは最後まで聞く
部下が話している途中で口をはさまず、うなずきや相づちを入れながら最後まで聞きます。
- NG:「あー、それならこうしたらいいよ」(途中で結論)
- OK:「そうなんだ、続けて聞かせて」(最後まで聞く)
ステップ2:感情を言葉にする
「大変だったね」「それは悔しかったね」と、部下の感情を代弁する言葉を返してあげます。
評価やジャッジじゃなくて、「気持ちはわかったよ」というメッセージを伝えることが大切です。
ステップ3:解決策は急がない
共感のあとで「じゃあどうする?」と一緒に考える。
この順番が大事です。
「あなたの気持ちを聞いた上で考えたんだよ」という姿勢が信頼になります。
ステップ4:考えさせる質問を投げる
「あなたならどうしたい?」
「理想の状態ってどんな形?」
こんな質問をするだけで、部下は自分で答えを探し始めます。
上司の「答えたい気持ち」を手放す
上司としては「部下の役に立ちたい」という気持ちがあるから、つい答えを急いでしまうんです。
でも、そこをグッとこらえて、まずは共感を。
- 「今この瞬間、部下が求めているのは答え? それとも理解?」
- 「まずは聞き役になってから答えを出しても遅くないよね?」
そう自分に問いかけるクセをつけていきましょう。
共感力を高めるための習慣
- 1on1では、仕事の進捗だけでなく「最近どう?」と感情にも触れる
- 部下の表情や声色の変化に気づいたら、ひと言声をかける
- 自分自身が共感されたときのうれしさを思い出す
共感は一朝一夕で身につくものではありません。
でも、日常の小さな積み重ねで、必ず上手になります。
おわりに
上司として答えを持つことは大切です。
でも、答えを渡すだけでは部下の心は動きません。
次に部下が相談してきたとき、まずは深呼吸して、「そうか、それは大変だったね」と言ってみてください。
それだけで、部下は「この上司に話してよかった」と感じてくれるはずです。
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