部下を一つにするシンプルな指示。複雑な指示が招く「動かない」チームの現実

コミュニケーション

はじめに

「どうしてうちの部下は、言った通りに動いてくれないんだろう?」
そんなモヤモヤを抱いたことはありませんか?

新任管理職やリーダーになりたての頃ほど、この疑問を強く感じるものです。
「自分はちゃんと説明しているのに」
「必要なことは全部伝えているのに」
「それなのに、なぜ部下が思った通りに動いてくれないのか」

気づけば、

  • 指示を理解していない部下がいる
  • 進め方が人によってバラバラになる
  • 思っていたのと違う結果が出てくる

そんな現実に直面して、ため息をつく…。

でも実はその原因、部下の「やる気のなさ」や「理解力の低さ」にあるのではなく、上司であるあなたの“指示の出し方”にあるかもしれません。

「シンプルな指示は部下を一つにし、複雑な指示は部下をバラバラにする」
このシンプルな法則を、ぜひ今日ここで意識してほしいと思います。


あるある:複雑な指示で部下が迷子になるケース

現場でよく見かける「指示のあるある」を、少しご紹介しましょう。

あるある① 条件だらけの指示

「この資料をまとめておいて。ただし数字は最新のに差し替えて、レイアウトはこの前のAパターンにして。あと見出しの色は青じゃなくて緑にしておいて。いや、やっぱり赤かな」
→ 部下は「結局どうすればいいの?」と混乱。完成物も人によって違い、統一感がなくなる。

あるある② 長すぎる説明

「今日のお客様対応は、まず入り口でこう声をかけて、それからメニューを説明して、オーダーが入ったら厨房に伝えて、提供時には笑顔を忘れずに…」
→ 大切なことを全部伝えようとした結果、情報過多に。部下は途中から頭に入らず、結局自分の感覚で対応してしまう。

あるある③ その場しのぎで追加される指示

「とりあえずやってみて。あ、そうだ、ついでにこれも。あと、もし時間が余ったらこっちもやって」
→ 部下は優先順位が分からず、「何から取りかかるべきか?」で迷い、効率が下がる。


その未来:複雑な指示が招くもの

こうした「複雑な指示」が続くと、チームはどうなるでしょうか?

  • 部下ごとに解釈がバラバラになり、チーム全体がちぐはぐな動きをする
  • 「上司の指示は分かりにくい」という不満が蓄積する
  • 自分のやり方で動く人が増え、チームの一体感が失われる
  • 成果が安定せず、上司自身が「なぜだ?」と苛立ちを募らせる

つまり、上司が複雑に伝えれば伝えるほど、チームはバラバラになっていくのです。


部下の視点で考えてみると

ここで一度、部下の立場になって想像してみましょう。

「結局、何をすればいいのかが分からない」
「指示を全部聞いたつもりなのに、後から『そうじゃない』と言われた」
「上司の言うことが毎回変わるから、正直やりにくい」

こう感じたとしたら、部下はどうなるでしょうか?

  • 不安になる:「これで合っているのかな?」と常に確認したくなる
  • 責任を避ける:「違っていたら嫌だから、最小限だけやっておこう」
  • モチベーションが下がる:「どうせまた直されるし」とやる気を失う

部下は「動かない」のではなく、「動けなくなっている」のです。
上司が複雑に伝えてしまったことで、意図せずブレーキをかけてしまっているのです。


シンプルな指示がもたらす力

一方で、指示がシンプルだとどうなるでしょうか?

  • 「今日は来店者アンケートを10枚集める」
  • 「朝礼で部下に1人ずつ質問を投げかける」
  • 「お客様に『また来たい』と思ってもらえる一言を必ず添える」

このように、一言でイメージできる指示なら、部下は迷わず動けます。

その未来:シンプルな指示が生むもの

  • 部下全員が同じ方向を向いて動く
  • 行動がそろうことで成果が安定する
  • 「この上司の指示は分かりやすい」と信頼が高まる
  • 部下が自信を持ち、主体性を発揮しやすくなる

つまり、シンプルな指示はチームを一つにまとめる最強の武器なのです。


なぜシンプルさが大事なのか?

人は情報が多すぎると処理しきれません。
心理学でも「人が一度に正しく処理できる情報は限られている」と言われています。

だからこそ――

  • 情報が多すぎる=解釈がバラバラになる
  • 情報がシンプル=全員が同じ行動を取れる

また、「複雑に伝える」ことは上司の賢さの証ではありません。
むしろ「誰にでも分かるように簡潔に伝える」ことこそが、真のリーダーシップです。


どうすれば指示をシンプルにできるか?(実践のヒント)

1. 一文で言える形にする

「目的」「やること」「期限」を一文でまとめる。
例:「今日中に売場のA棚だけを整理しておいて」

2. 補足はあとから追加する

まずは核となる指示を伝え、必要に応じて補足する。
最初から全部盛り込まない。

3. 自分に問いかける

伝える前に「これって簡潔に言えているか?」を確認する。
もし長い説明が必要なら、一度整理してから伝える。

4. 部下に復唱してもらう

「じゃあどうやって進める?」と聞き返すことで、解釈のズレを防げる。


あなたに伝えたいこと

部下が思うように動かないとき、私たちはつい「部下の理解力が足りない」「モチベーションが低い」と考えてしまいます。
しかし実際には、上司の伝え方が複雑すぎるだけというケースが圧倒的に多いのです。

リーダーに求められる力は、難しい理論を語ることでも、立派な戦略を並べることでもありません。
一番大切なのは、**「誰にでも分かるシンプルな言葉で伝える力」**です。

なぜなら――

  • シンプルな指示は、部下に安心感と行動の明確さを与える
  • シンプルな言葉は、チームの方向性を揃え、成果を安定させる
  • シンプルに伝える上司の姿勢そのものが、信頼を生む

つまり、シンプルさは単なる“伝え方の工夫”ではなく、リーダーとしての本質的な力なのです。

今日から意識してほしいのは、たった一つ。
「今、自分が出そうとしている指示は、部下がすぐにイメージできる一言になっているだろうか?」
この問いを持つだけで、部下の反応も、チームの動きも、驚くほど変わっていきます。

あなたのチームをまとめる力は、複雑な説明ではなく、シンプルな指示に宿っています。
ぜひ、最初の一歩を踏み出してみてください。


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