はじめに
職場では、上司の意見に「はい」と従う部下が“良い部下”とされる場面がいまだにあります。
「異論を言うのは生意気」「上司を否定するのはマナー違反」──そんな空気が根付いているチームも少なくありません。
しかし、本当にそれで良いのでしょうか?
上司の意見に誰も異を唱えないチームは、一見スムーズに見えても、実は大きなリスクを抱えています。
今日は、新任管理職の方にこそ伝えたい「異論を言える部下の価値」についてお話します。
異論を悪とする文化の背景
多くの職場では、長年「上司に従うことが正しい」という価値観が当たり前のように存在してきました。
特に、過去の成功体験や年功序列の文化が色濃い環境では、「部下は黙って従え」という空気が自然に形成されます。
実際に、こんな会話が日常的にあります。
- 「〇〇さんは素直だから助かるよ」
- 「△△さんはすぐに反論するから扱いづらい」
この背景には、**“異論を唱える部下=反抗的”**という固定観念があります。
そしてもう一つ、上司側も「異論を出させてしまう自分は至らないのでは」というプレッシャーを感じるケースもあります。
異論を封じるマネジメントの弊害
異論を封じたチームは、一見「一枚岩」に見えます。
しかしその実態は、
- 部下が意見を飲み込み、不満を抱えたまま仕事を進める
- 現場の課題や違和感が上層部に届かない
- 誤った判断や方針でも、誰も止められない
という危険な状態になりがちです。
たとえば、あるあるな光景として──
新しい施策を上司が提案したとき、部下は「それ、現場では厳しいかも…」と内心思っていても、会議では「わかりました」と返事をするだけ。
結果、現場は混乱し、無理な進行で疲弊してしまう。
それでも上司は「なぜもっと早く言ってくれなかった」と嘆く…。
このギャップこそ、異論を歓迎しない文化が生む弊害です。
異論を歓迎するチームの強さ
反対意見や懸念は、ときに耳が痛いものです。
しかし、それはチームにとって「気づけないリスクを知らせてくれるアラーム」です。
異論を歓迎するチームは、
- 多角的な視点で物事を判断できる
- 上司の見落としや思い込みを修正できる
- 部下が主体的に関わり、チームの結束が強まる
という好循環が生まれます。
上司が本気でチームを強くしたいなら、“同調”よりも“健全な異論”を尊重する姿勢が不可欠です。
異論を言える環境をつくる方法(あるあるベース)
「うちの部下は異論なんて言わない」という上司も多いですが、それは部下の性格だけが原因ではありません。
環境や関係性が影響していることがほとんどです。
1. 「意見を求める」のではなく「率直な声を聞かせて」と伝える
会議で「何か意見は?」と聞かれても、部下は構えてしまいます。
「率直にどう感じる?」と、感覚や印象から話せるような聞き方が有効です。
2. 異論が出たときに反射的に否定しない
せっかく出た意見に「いや、それは違う」と即答してしまうと、次から誰も言わなくなります。
まずは「そういう見方もあるんだね」と受け止めることが大切です。
3. 小さな提案や指摘を拾って感謝を伝える
「助かるよ」「言ってくれてありがとう」と日常的にフィードバックすることで、安心感が育まれます。
おわりに
異論を言える部下は、時に扱いづらく感じるかもしれません。
しかし、それはチームが健全に機能している証拠です。
上司としての成長は、部下に異論を言わせないことではなく、異論を受け止め、共により良い道を探せる関係性を築くことです。
あなたのチームは、今どちらの方向に進んでいるでしょうか?
耳の痛い一言こそ、チームを前進させる大きな一歩になるかもしれません。
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