新任管理職として日々忙しく業務に向き合う中、大小さまざまな「選択」に迫られる場面は多いと思います。
実は人は1日に30,000〜35,000もの選択をしているとも言われており、ランチのメニューからチームへの対応方針まで、常に選びながら生きているわけです。
ではその中で「判断」と「決断」の違いを意識したことはあるでしょうか?
本記事では、新任管理職の方に向けてこの2つの言葉の本質を掘り下げ、チームを導くリーダーとしての選択のあり方を一緒に考えていきます。
はじめに 〜判断と決断、何が違うのか?〜
ある管理職研修で「判断と決断の違いは何か?」と受講者に問いかけたところ、ある方がこう答えてくれました。
「判断は、過去の経験やルールに基づいて決めること。決断は、未来に向かって自分の意思と軸で決めること。」
この答えに私は深く共感しました。
そして、私は次のように補足しました。
- 判断:過去の出来事やルールを参考に決めること
→ 必要なものは「判断材料」。再現性があり、納得性が高い。 - 決断:未来(不確実なこと)に対して自らの軸で決めること
→ 必要なものは「覚悟」。再現性がなく属人的で責任が伴う。
この違いを理解することが、管理職としての選択力を磨く第一歩になります。
判断ばかりしていませんか?
日々の仕事では「判断」が求められる場面が多いものです。
たとえば、
- 前例に従う
- 数字やデータをもとに方向性を決める
- 上司や周囲の意見を参考に結論を出す
こうした判断は納得性が高く、周囲の賛同も得やすいです。
しかし同時に、「判断」ばかりに頼ると、自らのリーダーシップを発揮する場面が少なくなります。
特に新任管理職の頃は、「失敗したくない」「反対されたくない」といった不安から、判断だけで物事を進めようとしてしまいがちです。
決断する勇気はありますか?
一方で「決断」は、判断材料が揃っていない中で選択しなければならない場面で発生します。
たとえば、
- 新しいプロジェクトに挑戦するかどうか
- 部下の育成方針を変更するかどうか
- 上司に進言するべきかどうか
決断には、情報が不十分な中でも「自分の軸」で進む勇気が求められます。
当然、反対や批判に晒される可能性もありますし、リスクも伴います。
ですが、この「決断」こそがリーダーとしての力量が問われる瞬間なのです。
選択に正解はない。あるのは「正解にする力」
私は研修の最後に、受講者にこう伝えました。
「選択に絶対的な正解はない。それよりも、自分が選んだ道を正解にしていく姿勢の方が大切だ。」
これは私自身の経験から来ています。
現場での決断の多くは、事前に100%の情報が揃っているわけではありません。
それでも、軸をもって決断し、その後の行動で正解にしていく。
その姿勢が部下にとって信頼となり、上司にとっても頼れる存在となっていくのです。
自分の「軸」をもっていますか?
では、その「決断力」を支えるものとは何でしょうか?
それは「自分の軸」です。
軸とは、あなたの価値観、信念、そして何より「何のためにこの仕事をしているのか?」という問いに対する答えです。
新任管理職の時期は、まだこの軸が定まりきっていないことも多いと思います。
だからこそ、意識的に言語化し、振り返ることが大切なのです。
- どんなチームを作りたいのか?
- どんなリーダーでありたいのか?
- 何を大事にしてマネジメントをしたいのか?
これらを整理していくことで、選択に迷いが出たときでも、自分の軸に照らし合わせることで「決断」ができるようになります。
おわりに 〜選択の質を高めるために〜
新任管理職として、すべてを完璧にこなそうとする必要はありません。
ただ、日々の選択の中で、「これは判断か?決断か?」と立ち止まって考えるクセを持つだけで、あなたのマネジメントは大きく変わっていきます。
選択の積み重ねがチームをつくり、あなた自身の信頼を形づくります。
そして、どちらを選んだとしても、それを「正解にしていく力」こそが、リーダーに必要な資質なのだと私は思います。
さあ、あなたは今日、どんな選択をしますか?