はじめに
新任リーダーとして、部下をどう動かせばいいのか、悩んだことはありませんか?「やる気を出させたい」「チームを一つにまとめたい」と考えるのは当然ですが、実はその前に知っておくべき基本的なスキルがあります。それが、「採点基準を設定すること」です。
人は何かしらの基準に沿って行動します。その基準が明確であれば、部下たちは自分が何をすれば良いのか迷わず動けるようになります。今回は、この「採点基準」の重要性について、実例を交えながらお伝えしていきます。
人は「採点基準」に則って行動する
採点基準が行動に影響する例は、日常の中にもたくさんあります。
たとえば、運動会の短距離走。1位になることが評価される基準だからこそ、みんな全力でゴールを目指します。また、受験でも偏差値や合格ラインが明確だからこそ、それを目指して努力します。スポーツや競争の場面では、この「基準」が行動を決定づけるのです。
職場でもこれと同じことが言えます。営業ノルマ、コスト削減、お客様満足度――これらは採点基準の一例です。この基準があいまいだと、部下は「何をすれば評価されるのか」「どんな行動が求められているのか」がわからず、結果として力を発揮できません。
リーダーとして大切なのは、「どんな採点基準を設定するのか?」を明確にすることです。この基準が部下の行動を大きく左右します。
採点基準を設定する時に考えるべきこと
では、どんな採点基準を設ければ良いのでしょうか?ポイントは以下の3つです。
1. 明確でシンプルな基準を作る
採点基準は、具体的でわかりやすいものであることが重要です。たとえば、「頑張る」や「良い結果を出す」という曖昧な表現ではなく、「今月中に〇件の契約を締結する」「前年と比べてコストを10%削減する」といった、具体的な目標にすることで、部下は行動しやすくなります。
2. 個々の役割に合わせた基準を設定する
チーム全体の目標が明確であっても、それを個々の役割に落とし込むことができなければ、部下はどう行動して良いかわかりません。一人ひとりの役割に応じた採点基準を設定することで、全員が「自分のやるべきこと」に集中できる環境を作りましょう。
3. プレッシャーが強すぎない基準を心がける
採点基準が厳しすぎたり、達成への強いプレッシャーをかけすぎたりすると、部下が追い詰められてしまうことがあります。それが原因で、不正やコンプライアンス違反が起きることもあります。たとえば、オリンピックでの薬物使用や企業の不正事件などは、行き過ぎた採点基準が原因と言えます。
あなたの設定した基準が、社会的にも妥当であり、部下たちが「達成したい」と思えるものであるか、常に意識することが大切です。
採点基準がチームに与える影響
適切な採点基準を設定することは、ただ部下を動かすだけでなく、チーム全体の成果や成長にも大きくつながります。
たとえば、設定した基準を部下が達成し、それをリーダーがしっかり評価した場合、部下は「自分は貢献できた」という満足感を得ます。この成功体験の積み重ねが次の行動へのモチベーションとなり、結果的にチーム全体が良い方向に進んでいきます。
また、適切な採点基準はメンバー間の信頼感を高めます。「みんなが同じ基準で評価される」という安心感は、チームの連携や一体感を強め、さらなる成果を生み出す原動力となるのです。
おわりに
部下をどう動かすか悩むときは、「どんな採点基準を設定するか?」を改めて考えてみてください。その基準が明確で適切であれば、部下たちは自然と行動しやすくなります。そして、その結果がチームの成長や企業全体の発展につながります。
また、採点基準が達成されたときには、必ず部下の努力をしっかり評価してください。その積み重ねが、リーダーとしての信頼を築き、より良いチームを作る第一歩となります。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。