はじめに
「リーダーなんだから、もっと前に出ないと」
「自分が引っ張っている姿を見せなきゃ」
「成果を出したら、まず自分が説明しないと」
そう思えば思うほど、
しんどくなっていませんか。
- 会議でも、つい自分が先に話してしまう
- メンバーが説明できる場面でも、「時間かかるから」と自分がまとめてしまう
- 評価されるときも、「自分がちゃんとやりました」と証明しなきゃ、と力が入る
真面目で責任感がある人ほど、
「リーダー=前に立って目立つ人」
だと思い込んで、自分を追い込みがちです。
でも、本当にそうでしょうか。
リーダーは“主役になる人”ではなく、“主役を増やす人”
本当のリーダーって、
いちばん目立つ人でも、いちばん声の大きい人でもありません。
メンバーが主役として輝けるように踏ん張って、支えている人。
これが、僕が思う「リーダー」の姿です。
- プレゼンの場で、自分ではなく部下に話してもらう
- 成果報告のとき、現場で頑張ったメンバーにマイクを渡す
- トラブルを乗り越えたプロセスを、自分の武勇伝ではなく「チームのストーリー」として語る
自分が拍手をもらう必要はありません。
部下に拍手が集まっているのなら、
それはもう、あなたの仕事の成果そのものです。
「自分が前に出なきゃ」が、しんどさを生む
「リーダーなんだから…」と
いつも自分にムチを打って前に出続けると、こんなことが起こります。
- 常に“正解役”を求められるプレッシャー
みんながあなたの顔色を見て、
「最後は上司がまとめてくれるだろう」と待つようになります。
その結果、**毎回“オチも結論も全部自分”**という地獄コースが出来上がる。 - 部下の“出番”がなくなる
あなたがすべて説明し、決め、動いてしまうと、
部下は「自分の役割は補助」と感じ始めます。
そうなると、挑戦する機会も、成長するネタも奪ってしまうことに。 - 評価されているのに、なぜか満たされない
上から評価はされる。
でも、内側では「自分ばかり頑張っていて、誰もついてきていない気がする」と虚しさが募る。
これは、“主役”をやり続けたリーダーがよくハマる沼です。
頑張ってるのに、しんどい。
評価されているのに、報われた気がしない。
それは、あなたが
「主役の椅子」に座り続けているからかもしれません。
「主役に“させる側”」という発想
視点をひっくり返してみましょう。
リーダーは、
自分が主役になる必要はありません。
むしろ、
主役に“させる側”に回る。
この発想に立てた瞬間、
リーダーとしてのしんどさの質が変わります。
- 会議の場では、「誰が話すか」を意識して任せてみる
- 成果を出したときは、「自分が前に出る」ではなく「誰を前に出すか」を考える
- 部下が頑張った仕事を、自分の手柄としてではなく「本人のストーリー」として紹介する
こうすると、
部下は「このチームで頑張る意味」を感じ始めます。
拍手は誰に向かっているか。
そこに部下の名前が増えれば増えるほど、
あなたは“主役を増やせているリーダー”と言えるはずです。
部下の立ち位置を、あらためて見直してみる
ここで一度、
あなたのチームを思い浮かべてみてください。
- いつも前に出て説明しているのは誰か
- 成果が出たとき、名前を呼ばれるのは誰か
- 失敗したとき、「自分が全部かぶります」と言っているのは誰か
もし「だいたい自分だな…」と思ったなら、
それはそれで、これまで本当に頑張ってきた証拠です。
そのうえで、今度はこんな問いを置いてみてください。
- 「このテーマで主役になるべき人は、本当は誰だろう?」
- 「この成果の一番の立役者は誰だっただろう?」
- 「誰に“拍手が集まる経験”をさせてあげたいだろう?」
この問いを持ち始めた瞬間、
あなたのマネジメントは、
“自分主体”から“チーム主体”へと静かにシフトしていきます。
今日からできる「主役を増やすリーダー」の一歩
難しいことをする必要はありません。
今日からできる、小さな一歩を3つだけ挙げます。
- 報告の場で、ひと言ふってみる
「この部分は、○○さんから話してもらおうか」
たったこれだけで、その場の主役はあなたではなく部下になります。 - 褒めるときは“場の前で、本人の名前を出す”
上司だけに「頑張ってましたよ」と裏で言うのではなく、
ミーティングや朝礼など、人前で名前を呼んで称える。 - 成果を聞かれたら、“自分の一人称”だけで完結させない
「いえ、私というより、現場を動かしてくれた○○と△△が大きいです」
こう言えるリーダーのもとで、
「次は自分も前に出たい」と思うメンバーが必ず出てきます。
小さなことですが、
こうした積み重ねが、
“主役になれる場数”を部下に渡していく行為です。
おわりに
リーダーは主役でなくていい。
ステージの真ん中に立つことだけが、
リーダーの役割ではありません。
拍手の中心にいなくても、
その拍手が生まれる土台をつくっている人。
その空気を支えている人。
そんな人こそ、
**部下から本当に「選ばれるリーダー」**なのだと思います。
どうか、
「自分が目立てていないからダメだ」なんて思わないでください。
あなたが支えるあなたの部下が、
いつもどこかの現場で喝采を浴びていますように。
その拍手の影に、
あなたの仕事が確かに息づいているはずです。
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