はじめに
新任管理職としてチームを率いるようになると、最初に戸惑うのが「部下の評価」ではないでしょうか。
「結果を出している人と比べてどうか」「同期と比べて遅れていないか」──気づけば無意識に、部下同士を比較してしまう。そんな経験はありませんか?
他者との比較は一見、分かりやすくて合理的に思えます。
しかし、その評価基準は部下にとって時に残酷です。
「自分は劣っている」「上司は自分よりあの人ばかり見ている」──そんな気持ちを生み出し、やる気を削いでしまうのです。
本当に大切なのは「他者と比べること」ではなく、「過去と比べること」。
つまり、部下の成長をその人自身の歩みの中でとらえ直すことです。
今回は、新任管理職が知っておくべき「過去との比較で成長を評価する視点」についてお話しします。
部下同士を比較する評価が招く落とし穴
1. 劣等感を生み、信頼を失わせる
「Aさんは結果を出しているのに、Bさんはまだまだだね」
このようなフィードバックを受けたBさんはどう感じるでしょうか?
多くの場合、「自分は評価されていない」「信頼されていない」と思ってしまいます。
そしてそれは「上司に心を開くのをやめよう」という防御反応につながります。
結果として、部下との距離はどんどん広がり、信頼関係が築けなくなります。
2. 成長の本質を見逃してしまう
成果の数字やスピードだけを基準にしてしまうと、見逃してしまう変化があります。
例えば、以前は会議で黙っていた部下が、最近は意見を出すようになった。
資料作成に時間がかかっていた部下が、段取りを工夫して少し早く仕上げられるようになった。
これらは立派な成長です。
しかし「他者との比較」では目に入らないため、上司の承認が得られず、本人も気づかないまま埋もれてしまいます。
3. チームの雰囲気を悪くする
「比較で評価される」という意識が広がると、部下同士が互いを敵視し始めます。
「自分の成果があの人に負けたら評価が下がる」──そう思えば協力どころか足を引っ張り合う空気すら生まれます。
本来チームは「互いに補い合って成果を出す場」です。
しかし比較を軸にした評価は、その土台を壊してしまうのです。
過去との比較で評価するメリット
1. 成長実感を与えられる
「前よりも良くなったね」「この部分、前回より工夫できているね」
こう言われた部下は、自分の変化に気づきます。
この「気づき」が、やる気の源泉になります。
人は「できるようになった」と実感すると、次も頑張ろうと思えるのです。
2. 自信を育てる
他者比較ではなく、自分の過去との比較で評価されることで、部下は「自分も成長できるんだ」と感じられます。
これは小さな積み重ねですが、自信は確実に育っていきます。
新任管理職にとって、部下の自信を育てることはチーム全体の力を底上げする最も重要な役割です。
3. 信頼関係を深める
「この上司は自分をちゃんと見てくれている」と部下が感じられたとき、信頼関係は一気に強まります。
数字や結果だけでなく、その人自身の変化を見逃さずに承認すること。
それが、上司と部下を結ぶ信頼の土台になります。
具体的にどうやって「過去との比較」で評価するのか?
1. 小さな変化を観察する
毎日の何気ない行動に変化は現れます。
- 発言の仕方が前よりも堂々としている
- 報告が具体的になってきた
- 仕事の優先順位を考えるようになった
こうした小さなサインを見逃さないことが大切です。
2. 成長記録を残す
「前より良くなった」と感じた場面をメモしておくと、評価のときに具体的に伝えられます。
「1ヶ月前よりメールの文面が分かりやすくなったね」と言えると、部下は自分の成長を実感できます。
3. 本人に振り返らせる
上司が気づいていない成長も、本人の中にはあります。
「この3ヶ月で自分ができるようになったことは?」と問いかけると、自己成長を自覚させることができます。
その上で上司が承認すれば、「ちゃんと見てもらえている」という安心感がさらに強まります。
4. 他者比較を持ち込まない
「Aさんよりはまだ遅いけど」──この言葉はせっかくの成長承認を台無しにします。
他者と比べず、本人の過去との比較だけで語ること。
これが信頼関係を壊さない秘訣です。
おわりに
「他者との比較」ではなく「過去との比較」で部下を評価する。
それは、部下の小さな変化を見逃さず、成長を積み重ねていくための上司の大切な視点です。
新任管理職として、「誰かと比べてどうか」ではなく、「昨日より一歩進んでいるか」を見られるかどうか。
この視点が持てれば、部下のやる気も、信頼関係も、チームの力も、確実に変わっていきます。
今日からぜひ、部下の「過去」と向き合う評価を意識してみてください。
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