はじめに
あなたはチームの上司として、メンバー全体を見渡していると思います。
売上の進捗やシフトの調整、部下の動きや今後の計画。
いろんな要素を総合的に見ながら、「よし、大丈夫だな」「少し調整すれば問題ない」と判断できる。
でも、部下からするとどうでしょう?
部下は基本的に「自分の持ち場」や「今の仕事」しか見えていません。
だからこそ、「自分の仕事ってこれで大丈夫なのかな?」「他の人はどう思っているんだろう?」と不安になりやすいんです。
この「見えている景色の違い」が、上司と部下の間に不安や不満を生んでしまいます。
なぜ景色の違いが不安を生むのか?
上司は全体を見渡して安心できる
上司の立場からは、個人の動きや成果だけでなく、チーム全体の進捗や流れが見えています。
「あの人が遅れているけど、別の人がカバーしてるから大丈夫」
「今月は数字が厳しいけど、来月の案件で取り返せる」
こんなふうに、全体を俯瞰しているからこそ、安心できる材料がそろっているんです。
部下は「自分の場所」しか見えていない
一方で、部下は自分の仕事、自分の数字、自分の人間関係しか見えていません。
「私が遅れてるせいでチームに迷惑かけてないかな…」
「この作業って本当に意味があるのかな?」
全体の状況が見えていないからこそ、不安や疑念が膨らんでしまうんです。
情報の非対称が不満を生む
「上司だけが全体を把握している」状態は、部下からするとモヤモヤの原因になります。
「どうして教えてくれないんだろう」
「なんか隠してるんじゃないか」
こんな不満につながることも珍しくありません。
よくある「すれ違い」のパターン
上司:「大丈夫、全体ではうまくいってるから安心して」
部下:「でも、自分のことしか見えてないから安心できません…」
上司:「このまま進めてくれれば問題ないよ」
部下:「本当に?なんでそう言えるの?」
上司:「もっと全体を見ろよ」
部下:「いやいや、自分の仕事で精一杯です」
こうしたすれ違いは、景色の違いを前提にしていないから起こるんです。
上司に求められる役割:「景色の共有」
ではどうすればいいか。
答えはシンプルで、部下に景色を見せてあげることです。
1. 全体像をこまめに伝える
- 「今のプロジェクトは全体で7割進んでるよ」
- 「君の担当が進むと、他の人の作業がスムーズになる」
数字や進捗を全体像として伝えることで、部下は「自分の仕事が意味を持っている」と理解できます。
2. チームの中での位置づけを示す
- 「この作業は地味だけど、実は全体を支えてる重要な仕事なんだ」
- 「君の役割があるから、他のメンバーも安心して動ける」
自分の仕事がチーム全体にどう影響しているかを知ると、部下のモチベーションは大きく変わります。
3. 不安に先回りする
- 「今、少し数字が厳しいけど、この施策で回復する見込みがあるから安心して」
- 「Aさんの進捗は遅れてるけど、Bさんがカバーしてるから大丈夫」
こうした情報を先に伝えるだけで、部下の不安はぐっと減ります。
私の体験談:景色を共有することでチームが変わった
実は私自身、過去に「景色の違い」が原因で部下同士がぶつかり合ってしまった経験があります。
あるとき、Aさんは「自分ばかり負担を背負わされている」と感じ、Bさんは「Aさんがちゃんとやってくれない」と不満を持っていました。
どちらも相手を攻める気持ちになってしまい、チーム内に険悪な空気が漂っていたのです。
でも、その根本原因は「お互いが見えている景色が違うこと」でした。
Aさんは自分のタスクしか見えていない。Bさんも自分の担当しか見えていない。
だから「自分は大変なのに相手は楽をしている」という誤解が生まれていたんです。
そこで私は、チーム全体で「進捗会議」を定例化することにしました。
ただ私が進捗を読み上げるのではなく、自分を含めた全員が、それぞれ自分の言葉で進捗状況を共有する場にしたんです。
すると、驚くほど空気が変わりました。
- 「あの人もこんなに頑張っていたんだ」
- 「意外とこの作業って自分の仕事にもつながってるんだ」
- 「困っているなら自分が手伝おう」
そんな理解や助け合いの動きが自然に生まれたのです。
結果、部下同士の不満は和らぎ、互いを認め合う空気が育ちました。
そして何より大きかったのは、部下たちの視座が高まったこと。
「チーム全体を見渡す」という感覚を持てるようになり、ただの作業者から「チームの一員」という意識に変わっていったのです。
この経験から私は強く学びました。
景色の違いを放置すれば不満が生まれるけれど、景色を共有すれば信頼と協力が生まれるということです。
おわりに
上司と部下は、見ている景色がまったく違います。
だからこそ、部下の不安や不満は自然と生まれるものです。
でもその違いを理解し、ギャップを埋めようとする上司の姿勢こそが、信頼を生むきっかけになります。
ぜひ次に部下と話すとき、「この人はいま、どんな景色を見ているんだろう?」と自分に問いかけてみてください。
その一歩が、不安を安心に、不満を信頼に変えていきます。
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