はじめに
部下のモチベーションを高めるために「褒めることが大事」と言われます。
確かに、褒められれば誰しも嬉しいものですし、やる気も高まるでしょう。
ですが、マネジメントにおいて「褒めること」よりも、もっと大切なことがあると私は思っています。
それが、「感謝を伝えること」。
意外に思われるかもしれませんが、この「感謝の気持ちをきちんと言葉にする」ことが、信頼関係を築く上で非常に大きな意味を持つのです。
今回は、私自身のマネジメント経験をもとに、「褒める」ことと「感謝を伝える」ことの違い、そして感謝の言葉が部下との信頼関係をどれだけ育むかについてお話ししたいと思います。
「褒める」は“成果”や“変化”に光をあてること
私たちは「褒めること=部下を認めること」と捉えがちですが、実は「褒める」という行為には、ある前提があります。
それは「目に見える成果や変化があること」。
たとえば、
- 大きな案件をやりきった
- 売上が目標を大きく超えた
- 苦手だった業務を克服した
こうした“目に見える成長”や“わかりやすい結果”があると、私たちは自然と「よくやったね」「すごい!」と褒めることができます。
でも、すべての仕事がそういう性質ではありません。
「当たり前を支える仕事」は褒められにくい
人事・経理・法務・総務、あるいは日々のルーティンを確実に回すオペレーションの仕事。
こうした仕事の多くは、「期待通りにやって当たり前」とされる領域です。
トラブルがない状態が“成功”であり、変化が目に見えないからこそ、称賛や評価の対象になりにくい。
でも、その「当たり前」は、組織が成り立つために絶対に欠かせないものであり、誰かが支えてくれているからこそ、現場がスムーズに回っているのです。
私がマネージャーとして多くのチームを見てきた中で感じたのは、「目立たない仕事」を黙々と支えてくれている人こそ、組織にとって一番の“土台”だということです。
「感謝」は“関係性”に光をあてる
そんな目立たないけれど大切な仕事に光を当てる手段、それが「感謝の言葉」です。
- 「いつも支えてくれてありがとう」
- 「助かったよ」
- 「気づかないところまで配慮してくれているのが伝わってくるよ」
そう伝えるだけで、部下は「ちゃんと見てくれている」「自分の仕事が役に立っている」と感じ、安心感と信頼が生まれます。
感謝は相手との“関係性”を土台にして成り立つものです。
目の前の成果があろうとなかろうと、「あなたがいてくれて助かっている」「いてくれることが価値なんだ」と伝える力があるのです。
褒めるより、感謝の言葉を
もちろん、成果を出したときにしっかりと褒めることは大事です。
でも、「褒めるタイミングがないな」「成果が見えにくいな」と感じたときほど、ぜひ“感謝の気持ち”を言葉にしてみてください。
あなたの何気ない「ありがとう」のひと言が、誰かのやる気を支え、「この人のために頑張ろう」という気持ちを生むかもしれません。
そして、それはチームにとって何よりの信頼の土台になります。
おわりに
マネジメントは、成果だけを追いかけるものではありません。
信頼を土台に、チームが安心して力を発揮できる環境を整えることも、上司の大切な役割です。
「褒めること」よりももっと大切な「感謝を伝えること」。
どうか、今日から少しだけ意識してみてください。
あなたのひと言が、部下にとっての“居場所”になるかもしれません。
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