はじめに
日々の仕事の中で、何気なく交わされる会話や報告の中に「かなり」「結構」など、曖昧な表現が使われることは少なくありません。これらの表現は一見便利ですが、受け手によって捉え方が大きく異なり、結果的に判断ミスや行動のズレを引き起こすことがあります。今回は、具体例を通じて、こうした曖昧さを解消し、正確なコミュニケーションを図る方法について考えてみます。
曖昧さが生む課題
私が以前スイーツチェーンで働いていた時のことです。10人ほどの店長を集めて営業報告会を行った際、ある店長が「今回の商品、かなりのお客様が見てくれました」と報告しました。この「かなり」という表現を他の店長たちがどう受け取ったのかを聞いてみたところ、それぞれ次のような回答が返ってきました。
- A店長:10人中8人(8割)
- B店長:10人中3人(3割)
- C店長:10人中4人(4割)
発表した店長本人は「10人中4~5人」と答えたものの、このように同じ言葉が受け手によって異なる解釈を生むことが明らかになりました。この状況を放置していれば、店長それぞれが異なる基準で行動を起こし、店舗ごとにバラバラの結果が生まれる可能性があったのです。
リーダーに必要な具体性
リーダーとして重要なのは、コミュニケーションにおいて「曖昧さを排除し、具体的に伝えること」です。そのために意識すべきポイントは以下の通りです。
- 数字を使う:「かなり」ではなく「10人中5人が」など具体的な数値で伝える。
- 例え話をする:相手がイメージしやすいように、日常的な例えを用いる。
- 映像や図を使う:言葉だけでは伝わりにくい場合、資料や画像を活用する。
- 相手に確認する:「私が言いたいことはこういう意味だけれど、伝わっているかな?」と尋ね、相手の解釈を確認する。
これらを活用することで、相手の頭の中に自分と同じ「映像」を描かせることができます。
明日からはじめること
具体的な行動を明日から始めてみましょう。
- 数字を意識する
- 報告や指示をする際、曖昧な表現を避け、できる限り具体的な数字を使う。 - 確認を習慣にする
- 会話や会議の中で「私の伝え方で問題ないですか?」と確認を入れる。 - 例え話を考えておく
- よく使う報告内容について、相手がイメージしやすい例え話をいくつか用意しておく。 - 記録を見直す
- 過去のコミュニケーションで曖昧だった部分を振り返り、改善ポイントを洗い出す。
おわりに
リーダーにとって「正確に把握し、正確に伝える」ことは欠かせないスキルです。曖昧さを減らすことは、ミスを防ぐだけでなく、信頼関係の強化にもつながります。これらの方法は、決して難しいことではありません。少しの意識と工夫で、日々のコミュニケーションが劇的に変わります。まずは、明日から具体的な行動を試してみてください。
あなたが発する一言が、チーム全体の方向性を変えるきっかけになるかもしれません。