はじめに
あなたが新しい部署へ異動し、初めての上司との面談に臨むとします。そのとき、上司から次のような言葉をかけられました。
シーン①
A:「〇〇さんがうちの部署にきてからチームの雰囲気が変わったよ」
B:「〇〇さんがうちの部署にきてくれてからチームの雰囲気が変わったよ」
シーン②
A:「うちの部ではチームの雰囲気を重要視しているんだ」
B:「うちの部ではチームの雰囲気を大切にしているんだ」
シーン③
A:「〇〇さんは早速チームになじめているようだね。嬉しいよ!」
B:「〇〇さんは早速チームになじめていると皆が感じているよ。嬉しいよ!」
どちらの言葉が心に響きましたか?
しかし、今回の目的は「どちらが正解か」を議論することではありません。
このシーンはあくまで分かりやすくするための例ですが、リーダーとして部下と向き合う際、どの言葉を使うかによって部下の心への響き方が大きく異なることを知っておいてほしいのです。
言葉の選び方ひとつで伝わり方が変わる
リーダーの言葉は、部下にとって想像以上に大きな影響を与えます。
例えば、上記のシーン①では、Bの「きてくれてから」という表現が「歓迎されている」という温かみを感じさせます。
シーン②では、「重要視している」と「大切にしている」の違いがポイントです。「重要視」は少し硬い印象を与え、「大切にしている」の方がより心に響きやすい表現になります。
シーン③では、「皆が感じている」というBの表現の方が、個人の意見ではなく、チーム全体の認識であることが伝わり、安心感を与える効果があります。
このように、言葉の選び方ひとつで、相手に与える印象が大きく変わるのです。
リーダーが言葉にこだわるべき理由
リーダーの言葉は、部下のモチベーションに直接影響を与えます。
たとえば、
- 「よく頑張ったね」と言われるのと、「よく頑張ったね。〇〇の工夫が素晴らしかったよ」と言われるのでは、後者の方がより自分の努力が認められたと感じる。
- 「任せるよ」と言われるのと、「〇〇さんなら安心して任せられるよ」と言われるのでは、後者の方がより信頼を感じる。
こうした細かな違いが、部下の心の響き方を大きく左右します。
明日からできること
リーダーとして、部下に響く言葉を選ぶために、以下のことを意識してみてください。
- 相手の価値観を知る
部下がどんな言葉に敏感なのか、どのような表現が心地よいのかを知ることで、適切な言葉選びができるようになります。 - 具体的な言葉を添える
「すごいね」「よかったね」ではなく、「〇〇の工夫がよかったね」「あの対応が素晴らしかったね」と具体的に伝えることで、相手は自分の強みを実感できます。 - 感情を込める
単なる事実だけでなく、感情を込めた言葉を選ぶことで、より部下に響きやすくなります。
おわりに
リーダーとしての役割は、単に指示を出すことではなく、部下と信頼関係を築き、成長をサポートすることです。そのためには、日々の言葉選びが重要になります。
「何を伝えるか」だけでなく、「どう伝えるか」にこだわること。
部下ひとりひとりと向き合い、最も響く言葉を選びながら、信頼されるリーダーを目指していきましょう。