想像してみてください。
もし、明日あなたが退職することになったとしたら――
あなたのチームメンバーは、どんな言葉を残してくれるでしょうか?
・「尊敬できる上司でした」
・「一緒に働けて本当によかったです」
・「厳しかったけど、愛がありました」
・「ぶっちゃけ、早く辞めてくれたらいいのにと思ってました…」?
これは、誰にとっても少しドキッとする問いです。
けれどもこの問いこそが、あなたが「どんなリーダーでありたいか」を見直す絶好のチャンスになるのです。
【はじめに:退職メッセージは“鏡”】
人は本音を、節目のタイミングで言葉にします。
中でも「退職」というタイミングは特別です。
もう上下関係も利害関係もなくなるからこそ、
それまでの本音や感謝、不満がストレートに表れる瞬間です。
だからこそ、自分がどんな言葉を贈られるかを想像することは、
自分自身のマネジメントやリーダーシップを振り返る「鏡」になります。
【1. リーダーとして得たい“評価”とは?】
私自身、これまで何度も転職や異動を経験してきました。
そして退職や異動のたびに、メンバーや部下から寄せ書きをもらうことがありました。
一言一句、その言葉が嬉しくて…というよりも、
自分のこれまでの“在り方”がその言葉に出るような感覚でした。
「いつも気にかけてくれてありがとう」
「最初は怖かったけど、今では一番信頼できる上司でした」
「あなたがいたから今の自分があります」
そんな言葉もあれば、
「もっと話を聞いてほしかったです」
「厳しすぎて、正直つらかったです」
といったメッセージをもらったこともあります。
それらは全部、「リーダーとしての自分」のフィードバックそのものでした。
【2. ありたいリーダー像と、いまの自分のギャップ】
この「寄せ書き」という問いには、もう一つ大切な視点があります。
それは、**自分がどんな言葉を“得たい”のか?**という問いです。
・どんな存在として部下に記憶されたいのか?
・どんなメッセージを贈られたら、自分は嬉しいのか?
・それを得るために、今の自分はどう行動しているのか?
この「理想」と「現実」のギャップに気づくことが、
あなたのマネジメントを進化させるヒントになります。
【3. チームが残すメッセージは、リーダーの“生き様”】
ある時、私の知人が異動する際の寄せ書きを見せてくれました。
その中に、こんなメッセージがありました。
「このチームで働いていることを、家族に自慢していました。」
これを見たとき、私は言葉を失いました。
人は、信頼するリーダーやチームに出会ったとき、
それを“人生の一部”として誇りに思うんだと、改めて気づいたのです。
つまり、チームの記憶は、リーダーの「あり方」で決まるということ。
だからこそ、あなたがどんなリーダーでありたいか?という問いに
日々向き合うことが、チームの未来をつくるのです。
【4. 明日が退職日だったら、何をする?】
この問いに、ぜひ真剣に向き合ってみてください。
「もし明日が退職日だったら、今日どんなふうに部下と接するか?」
それが、**あなたの本当に“やりたいマネジメント”**かもしれません。
- 小さなことに「ありがとう」と言う
- 苦手な部下にも、少しだけ関心を向ける
- ちゃんと目を見て「助かったよ」と言う
- 自分の背中を、誇れるように整える
大げさなことは要りません。
でも、あなたが「本当に大切にしたいこと」を思い出せるのがこの問いです。
【おわりに:言葉は“記録”ではなく、“関係の証”】
「寄せ書き」という問いは、単なる想像ではありません。
それは、リーダーとしての自分の軌跡がどう受け止められているかを示す、“関係性の記録”です。
理想と現実のギャップを埋めるためには、今日からの一歩が必要です。
そして、その一歩は、
「どんな言葉を残されたいか?」という問いから始まります。
あなたは、どんなリーダーとして記憶されたいですか?
そのために、明日、どんな行動をしますか?