はじめに
「管理職に昇進したけれど、何をどうすればいいのかわからない」「チームがまとまらず、成果を出せない」――新任リーダーにとって、そんな悩みは珍しくありません。私自身もその一人でした。多くのプレッシャーや期待に押しつぶされそうになりながら、もがき苦しんでいた時期があります。
そんな時、上司に言われたある一言が私の考え方を大きく変えました。それが「あなたの立ち位置はサッカーで例えたらどこなの?」という問いでした。この問いが、リーダーとしての視点や役割の本質に気付かせてくれたのです。
1. リーダーの立ち位置を見極める
上司に問われた「監督?コーチ?キャプテン?」という質問に、私はとっさに「監督」と答えました。それが正しいと思ったからです。しかし、上司はこう続けました。「チーム状況を見極めて、適切な立ち位置を考えなさい」と。
当時の私は、リーダー=監督という固定観念に囚われ、指示を出し作戦を練ることばかりに意識を向けていました。しかし、チームにはそれを支えるコーチもキャプテンもおらず、メンバーも成熟していなかったのです。そのため、現場は混乱し、思うような成果を上げられない日々が続いていました。
このアドバイスをきっかけに、リーダーの立ち位置はチーム状況に応じて変えるべきだと気付きました。監督として全体を俯瞰するだけでなく、時にはコーチやキャプテン、さらには選手として現場に飛び込む柔軟性が求められるのです。
2. 監督だけではない役割
もし、あなたのチームが今、独立して戦える状態でなければ、あなたは監督だけでなく、コーチやキャプテン、場合によっては選手も兼任しなければならないかもしれません。一緒に現場で働き、個別指導をし、悩みに耳を傾け、さらには基本的な業務を手伝うことも必要です。
このように、複数の役割を担うことは決してリーダーとしての力不足ではありません。むしろ、それが今のチーム状況にとって必要不可欠なリーダー業務なのです。重要なのは、最終的に監督業に専念できる状態を目指しながら、メンバーの成長に合わせて立ち位置を調整することです。
3. リアルな現場を受け入れる
リーダーシップに関する本には、役立つノウハウがたくさん書かれています。しかし、現場のリアルはそんな理想通りには進みません。実際の職場では、想定外の問題や複雑な人間関係が絡み合うことが多いものです。
私自身も、理論だけでは対応できない状況に直面しました。しかし、現場で一緒に汗をかきながらメンバーと向き合う中で、その過程こそが信頼を築き、チームを成長させる礎になることを実感しました。リーダーとしての役割は、決して一つではないのです。
おわりに
仕事もスポーツも、チームで目指すゴールは同じです。あなたがリーダーとして現場に立ち、時には監督、コーチ、キャプテン、選手として役割を兼ねながら全力で向き合うこと。それが「チーム状況を見極め、必要な立ち位置に立つ」ということです。
チームの状況を自分の好きなスポーツに置き換えて考えてみるのも良いかもしれません。そして、最終的には監督業に専念できる強いチームを作り上げていきましょう。あなたの努力は、必ずチームの未来を明るく照らします。